研究課題/領域番号 |
23591547
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
今村 俊彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30444996)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 急性骨髄性白血病 / MLL遺伝子 / 分化誘導療法 / レチノイン酸 |
研究概要 |
我々は、平成23年度に以下のことを明らかにし発表した。1、MLL再構成陽性急性骨髄性白血病におけるATRA抵抗性はMLL再構成の相手方遺伝子の種類が重要である。MLL-AF9陽性細胞についてはATRA抵抗性は比較的軽度であり、ATRA投与によりC/EBPeの上昇がみられ増殖抑制および細胞死が見られるが、MLL-AF4/AF5q31陽性細胞については、ATRA抵抗性は著明であり、C/EBPeの上昇は見られず、ATRAによる細胞増殖抑制効果も見られない。2、脱メチル化剤はATRAとの併用によりMLL-AF9陽性細胞のC/EBPa, C/EBPeの発現をATRA単剤に比して増強し、細胞増殖抑制効果の増強およびアポトーシスの促進効果を有し、ATRAのIC50を有意に低下させることを明らかにした。一方、MLL-AF4/AF5q31陽性細胞におけるATRA抵抗性の解除は見られず、MLL-AF4/AF5q31陽性細胞のATRA抵抗性はDNAのメチル化とは異なる機序が考えられた(Fujiki A, Imamura T, et al.論文投稿中)。3、mTOR阻害剤はATRAとの併用により、MLL-AF9陽性細胞およびMLL-AF4/AF5q31陽性細胞のATRA抵抗性をC/EBPaのリン酸化の抑制とdominant-negative isoformである、p30 C/EBPaの発現抑制を介して部分的に解除した(Yoshida H, Imamura T, et al. Leu Res 2012;36:735-741)。以上の成果は、MLL再構成陽性急性骨髄性白血病の分化誘導療法の開発に向けた、基礎的データとして意義深いものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、平成23年度内にMLL再構成陽性球性白血病にたいするATRAと脱メチル化剤およびmTOR阻害剤の併用による分化誘導について、それぞれ論文投稿(Fujiki A, Imamura T, et al.論文投稿中)。および論文発表(Yoshida H, Imamura T, et al. Leu Res 2012;36:735-741)を行った。現在、さらに強力なATRA抵抗性解除作用を有する、因子(クロマチン制御因子)についても検討をすすめ、期待できるデータを得ており、おおむね順調に研究遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、現在検討中のクロマチン制御因子の抑制によるATRA感受性の改善の機序を免疫沈降法を用いて解析する予定である。また、xenograftモデルを用いた系を確立し、本因子の抑制剤とATRAの併用が、臨床応用可能であるか否か、検討を進めたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度は以下の実験のため研究費を使用したい。1、免疫沈降法のための抗体、キットおよび定量PCR関連試薬の購入。2、xenograftモデル作成のためのヌードマウスおよび投与薬剤の購入。
|