研究課題/領域番号 |
23591550
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
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研究分担者 |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | JAK2 / スプライシング / 骨髄増殖性腫瘍 / 先天異常 |
研究概要 |
23年度は研究計画に従い、以下の実験を行った。【1】異常JAK2遺伝子のリン酸化活性についての検討・患者で認められた異常JAK2遺伝子(異常スプライシングにより、PKDの一部が欠失したもの)を大腸菌により増幅した後、発現ベクターpCMV-JAK2にトランスファーした。異常JAK2遺伝子が導入された発現ベクターpCMV-JAK2Mをおよび正常ベクターpCMV-JAK2をBaF3細胞に導入し、RT-PCRにより異常JAK2遺伝子が発現していることを確認できた。これらのpCMV-JAK2M導入BaF3細胞およびpCMV-JAK2導入BaF3細胞について、IL-3およびエリスロポイエチンで短時間刺激し、フローサイトメトリーによりJAK2およびStat5のリン酸化の程度を正常および異常JAK2遺伝子導入細胞で比較した。結果は、IL-3刺激では変異JAK2導入BaF3細胞でAktのリン酸化は正常JAK2遺伝子導入細胞に比べ若干亢進していたが、Stat3のリン酸化に明らかな差はなく、エリスロポイエチン刺激後15分では有意な差は見られなかった。今後は、FCS除去等、培養条件を変化させ、さらにデータを蓄積する予定である。【2】マウス受精卵への異常JAK2遺伝子導入による先天異常発生の検討・変異JAK2遺伝子をもつトランスジェニックマウスを、理化学研究所に依頼して作成した。結果、9匹のトランスジェニックマウスが得られた。また、これらのマウスを交配させ、さらに7匹のJAK2異常遺伝子発現マウスを得た。これらのマウスについて、血液学的異常の有無を検索したところ、一部で多血や血小板増加を示すマウスが見られた。また、1匹のマウスに肝臓の多発腫瘍が見られた。今後、生殖器・肝胆系・心肺系についても病理学的に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1】異常JAK2遺伝子のリン酸化活性についての検討については、JAK2遺伝子の増幅、クローニング、BaF3細胞への導入について、当初の予定通り成功している。シグナル伝達分子のリン酸化については、今のところ有意な結果は得られていないが、今後実験条件の検討により、追加の実験を予定している。これらの細胞のマウスへの投与実験は、現在準備を行っているところである。また、【2】マウス受精卵への異常JAK2遺伝子導入による先天異常発生の検討については、変異JAK2遺伝子をもつトランスジェニックマウスを多数得ることに成功した。また、一部には血液学的異常やその他の異常も見られており、今後の病理学的検討によりさらなる結果が得られる可能性は高い。以上より、当初の実験計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度から継続中の実験を進展させるとともに、24年度以降に予定している患者家族の遺伝子の検索を中心に研究を進める予定である。これについては、すでに大学の倫理委員会で研究の承認を得ており、間もなく開始できる予定となっている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は0円である。
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