研究課題/領域番号 |
23591550
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
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研究分担者 |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | JAK2 / スプライシング / 先天性骨髄増殖性腫瘍 / GATA1 / DGKK |
研究実績の概要 |
<最終年度の成果> 骨髄増殖性腫瘍および外性器奇形を持ち、JAK2スプライシング変異を認める先天性症候群おいて、患者およびその家族のDNAについて次世代シークエンサーを用いてエクソーム解析を行ったところ、原因となる遺伝子異常の候補が複数認められた。具体的には、常染色体上に座位する遺伝子10個、およびX染色体上に座位する遺伝子4個の異常が候補として挙げられた。このうち、X染色体上に座位するGATA1遺伝子については、過去に報告のないG221D変異を認めた。GATA1は先天性の貧血患者において変異が見られることが報告されており、本患者の造血器異常に関与している可能性が示唆された。この変異について、ベクターに組み込んでHeLa細胞への遺伝子導入を行った。現在、本細胞のスプライシング異常について、スプライシングアレイによる解析を実行中である。また、同じく本患者にX染色体に座位するDGKK遺伝子の変異を認めた。本遺伝子の変異は尿道下裂に関与することが報告されており、本患者に認められた外性器の奇形に関与している可能性が考えられる。 <研究機関全体での研究成果> JAK2遺伝子のスプライシング異常が本症候群の原因である可能性を考え、スプライシング異常をもつJAK2を細胞に導入し、下流シグナルであるSTAT3, Akt蛋白の変化を観察したが、これらの下流シグナルのリン酸化が亢進している明確な証拠は得られなかった。また、異常JAK2を導入したトランスジェニックマウスを作製し、交配を重ねて計16匹の異常JAK2マウスが得られたが、明らかな先天奇形や、造血器腫瘍の発生は見られなかった。そこで、その他の原因遺伝子を検索するため、患者および家族のDNAのエクソーム解析を行ったところ、上記遺伝子異常(GATA1およびDGKK)が認められ、本症候群の発症に関与している可能性が明らかとなった。
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