研究概要 |
ダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA)の病因に関してはいまだ完全には解明されていないが、DBA患者の約25%においてボゾーム蛋白S19(RPS19)の遺伝子異常が報告されている。また、近年RPS19以外のリボゾーム蛋白(RPL5, RPL11, RPS24, RPS17 等)の異常の報告もあるが、DBAの半数以上は依然として病因不明であるとともに現在までに有効な治療法は開発されていない。今までのDBA研究の問題点として(1)患者数が少なく研究に必要なサンプルが手に入りにくい。(2) DBAの細胞自体がin vitroでも増殖が困難である。(3) DBAの病態解析、治療効果検討を行えるモデルが存在しない。などがあげられ、これらの理由からDBAの病体解析およびその治療法の研究をするのは困難であった。本研究ではsiRNAを用いて様々なリボゾーム蛋白(RPL5, RPL11, RPS24, RPS17 等)の異常を持つDBAモデルの作製を行い、総合的にリボゾーム蛋白異常の分子病態の解明を行う。 リボゾーム蛋白(RPL5, RPL11, RPS24, RPS17)の異常を持つDBAモデルの作製のために、各リボゾーム蛋白対するsiRNAを発現するレンチウイルスベクターの作製を行った。赤芽球系に分化可能な細胞(TF1, K562)に作製したレンチウイルスベクターを用い遺伝子導入し、ボゾーム蛋白の発現を抑制する事によりDBAモデルの作製を行った。これらの細胞は細胞増殖能低下、コロニー形成能の低下などDBA細胞の病態と同じような病態を示した。また、DBAのin vivoモデル作製のためにテトラサイクリンにてsiRNAの発現を誘導可能なマウスモデル作製を目的としてKRAB遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの作製を行った。
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