研究課題
本年度も、より安全な経口免疫療法の確立を目指して、低アレルゲン化食品を用いた経口免疫療法を試みるとともに、作用機序を明らかにして改良に役立てるべく、主に加水分解乳を用いた牛乳アレルギーの免疫療法におけるアレルゲン特異的T細胞に着目して解析した。牛乳アレルゲン特異的T細胞は、multicolor flow-cytometry(Gallios)を用いて、牛乳アレルゲン存在下6時間培養して出現する活性化マーカーCD154 陽性細胞として同定し、同時に細胞質内サイトカインおよびFoxP3を多重染色して解析した。その結果、牛乳アレルギー患者(n=15)では、非牛乳アレルギー患者(n=11)に比し、牛乳アレルゲン特異的IL-4産生細胞(Th2)、IL-5産生細胞が有意に増加しており、また、牛乳アレルゲン特異的IL-4産生細胞数と牛乳特異的IgEとの有意な正の相関が認められた。一方、アレルギー発症に抑制的に働くと考えられた牛乳アレルゲン特異的INF-γ産生細胞(Th1)、牛乳アレルゲン特異的IL-10 産生細胞(TR1)も、Th2ほど顕著でないものの、牛乳アレルギー患者で有意に増加しており、これらサブセットの存在自体より、T細胞サブセット間のバランスが重要であることが示唆された。これに対し、CD4+CD25+Foxp3+の調節性T細胞(nTreg)は、両群間で差が認められなかった。現在、これらの指標の免疫療法による推移を検討中である。
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Ann Allergy Asthma Immunol.
巻: 110 ページ: 380-385
10.1016/j.anai.2013.02.015
巻: 110 ページ: 388-390
10.1016/j.anai.2013.02.003