研究課題/領域番号 |
23591556
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
宇理須 厚雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20193972)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フィラグリン / 食物アレルギー / アトピー性皮膚炎 / 乳児 |
研究概要 |
研究協力施設(藤田保健衛生大学病院,藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院,豊橋市民病院,渥美病院,星ヶ丘マタニティ病院,てらだアレルギーこどもクリニックの合計6施設)で,これまでに9ヵ月から13ヵ月の乳児96例を蓄積した. 得られたDNA検体に対して,日本人で既知のフィラグリン遺伝子の機能喪失型変異(R501X,3321delA,S1695X,Q1701X,S2554X,S2889X,S3296X,K4022Xの8種類)をTaqMan法で検出した.96例中13例(13.5%)で少なくとも1アレル以上のフィラグリン機能喪失型変異を認めた.食物アレルゲンへの感作状況(卵白,牛乳,小麦,大豆,ピーナッツへの感作項目数)とフィラグリン機能喪失型変異の関連を調査したところ,感作が全く見られなかった症例では14例中0例(0%),1項目以上の感作を認めた症例では82例中13例(15.9%)がフィラグリン機能喪失型変異を認めた(Fisher正確検定,p=0.20).フィラグリン機能喪失型変異を有し,先天的に皮膚バリア障害を認めることが食物アレルギー発症に関与している可能性がある. 日本人の一般人口においてフィラグリン機能喪失型変異は4%との報告がある.今回,健常成人ボランティア50名に対して解析を行ったところ,5例(10%)でフィラグリン機能喪失型変異を認めた. フィラグリン遺伝子の一塩基多型との関連解析を一部進めている.引き続き症例の集積,他のバリア関連遺伝子との関連解析が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の蓄積が困難であるが,当初予定した藤田保健衛生大学病院,藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院以外に,研究協力施設を追加することで,研究期間に見合った症例の蓄積が進められた.予想される最大の関連因子であるフィラグリン機能喪失型変異と食物アレルゲン感作の関連を認める傾向にあり,引き続き症例の蓄積を進めることで新たな知見が得られる可能性がある.ターゲットとする腸管バリア関連遺伝子の探索を進める必要があるが,平成23年度は進めることができていない.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究協力施設からの症例集積を行う.フィラグリン機能喪失型変異との関連調査を進めるが,同時に腸管バリア関連遺伝子の候補遺伝子断作を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
解析に引き続き使用するDNA抽出試薬,PCR試薬,フィラグリン機能喪失型変異のTaqManプローブに加えて,新たに検討する腸管バリア関連遺伝子のTaqManプローブの購入が必要である.
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