研究課題/領域番号 |
23591557
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
近藤 康人 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30301641)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
これまで花粉抗原と交差反応性を有する果物・野菜による口腔内アレルギー症状(OAS)の診断に関して、交差抗原性を証明するIgE競合試験がよく用いられている。しかし、IgE競合性が証明されても臨床症状とのギャップが生じることがあり、その原因としてIgE抗体の交差抗原性を有するがアレルギー症状を誘発しない糖鎖(cross-reactive carbohydrate determinant :CCD)の関連性が指摘されている。しかし糖鎖が症状を誘発しうるという研究報告もありアレルギー交差反応性における糖鎖の関与はわかっていない。そこで今回、よりよい診断法を確立するために、我々は独自のアイデアによりIgE 競合試験と好塩基球活性化試験まで連続して行う新しいシステムを開発しin vitroアレルギー診断の向上を測るとともに糖鎖の意義についても検討した。方法として、スギ花粉症でトマト特異的IgE陽性者19名を選びOASの病歴および抗CCD抗体の測定を行った。両抗原間の交差抗原性はELISA inhibitionとimmunoblot inhibitionで検討し、交差反応性はinhibition法と受身感作好塩基球活性化を組み合わせた受身感作好塩基球活性化吸収試験で検証した。結果はいずれの患者でもCCDの値に関係なく交差抗原性がみられたが、新しい検査法で違いがみられた。トマトIgE抗体価とCCD抗体価を比較した際にトマトIgE抗体価がCCD抗体価より明らかに高い症例では好塩基球活性化とトマトOASがみられ、両者が同等の場合は好塩基球活性化およびOASがみられないことが判明した。果物に対するIgE抗体価とCCD抗体価を比較して臨床症状(OAS)の違いを検討した報告はこれまでないことから、重要な新知見であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進んでおり今後もこのペースを継続したい
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今後の研究の推進方策 |
OASがみられた症例の血清IgEをCCDで吸収した場合に好塩基球活性化の変化がみられるか検討するCCDによるIgE吸収試験前後でイムノブロットを行い、臨床症状(OAS)発現の有無との関連性について調べる
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次年度の研究費の使用計画 |
今後も症例を追加し結果の再現性を検証する。また、これまで検討してきた症例に関してはCCD吸収前後での好塩基球活性化の変化や、イムノブロットの違いを検討し、臨床症状(OAS)との関連性を検討する。これによりOASに関係する重要なタンパクを見つけ、最終的により正確なin vitroの診断法を確立したい。
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