研究課題/領域番号 |
23591558
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
井上 彰子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90330076)
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研究分担者 |
瀧谷 公隆 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80319540)
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キーワード | 急性前骨髄球性白血病 / レチノイド / エピジェネティクス |
研究概要 |
急性前骨髄球性白血病(APL)に対するall-trans retinoic acid (ATRA)療法は、PML/RAR融合遺伝子を標的とした分子標的療法であるが、ATRA耐性細胞の出現が、分化誘導療法の大きな壁となっている。近年、難治性APLに対応するために新規化合物の創薬が報告されている。またATRAの分化誘導療法において、細胞分化のエピジェネティクス機構が解明されつつある。本研究では、新規レチノイドにおいて、APL細胞およびATRA耐性APL細胞分化のエピジェネティクス機構への影響を検討する。 1)APL細胞において、レチノイドにより誘導される標的遺伝子群の解析 レチノイド化合物をAPL細胞に添加し、RNAを抽出、マイクロアレイを実施した。転写因子(CEBPε)、免疫タンパク質(leukocyte immunoglobulin-like receptor, B4)などの発現上昇を認めた。CEBPεの発現上昇は,実際のAPL治療中の患者白血球においてもタンパクレベルで確認した。 2)レチノイドが変異RAR/PML融合タンパク質とMLL5の相互作用に及ぼす影響 レチノイド化合物の存在下で、MLL5およびRAR/PML融合タンパク質の転写活性への影響および両タンパク質の相互作用を検討する。PCR法にて、EF6-FlagMLL5 (full, 1858aa)を鋳型にして、MLL5遺伝子(short, 609aa)を増幅し、pCMV-HA、CMV—MycおよびpcDNAベクター(Kozakサイト入)に組み込み、それぞれの塩基配列およびタンパク質発現(Western blot)を確認した。さらにレポーター(tkTRE-Luc;RAREを含む)を用いて、RAR/RXRおよびMLL5の転写活性をルシフェラーゼ法にて確認した。その結果、濃度依存的な活性の上昇傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「レチノイドが変異RAR/PML融合タンパク質とMLL5の相互作用に及ぼす影響」の実験において、変異RAR/PML融合タンパク質発現ベクターの構築に時間がかかってしまった。MLL5発現ベクターの確認を行う際に、タンパク質発現の実験方法および転写活性(ルシフェラーゼ法)の条件設定に時間がかかってしまった。「レチノイド添加によるヒストン蛋白メチル化の影響」における、メチル化実験は次年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)レチノイドが変異RAR/PML融合タンパク質とMLL5の相互作用に及ぼす影響 転写活性実験(ルシフェラーゼアッセイ)を行う。レチノイド化合物の存在下で、MLL5発現ベクター、変異RAR/PMLベクター、RARE応答配列-pGL3ベクターをCos7細胞にトランスフェクションする。MLL5の変異RAR/PML融合蛋白の転写活性の影響を検討する。 2)レチノイド添加によるヒストン蛋白メチル化の影響 MLL5-発現ベクターを構新規レチノイドの添加細胞にトランスフェクションする。抗H3-リジン4抗体にてWestern blotを行い、メチル化を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規レチノイド化合物がRAR/PML融合タンパク質とMLL5の相互作用に及ぼす影響を検討している。MLL5発現ベクター (pcDNA3.1・pCMV-Myc・pCMV-HAベクターにそれぞれ導入)を構築し、転写活性実験を行っている。しかし、レチノイド添 加によるヒストン蛋白メチル化実験および変異RAR/PML融合タンパク質の構築が滞っている。タンパク質を扱う実験が未着手のため、未使用額が生じた。 主に、MLL5発現ベクターを用いた転写活性実験の継続およびレチノイド添加によるヒストン蛋白メチル化実験を行う予定である。レチノイド耐 性のUF-1細胞にMLL5-発現ベクターをトランスフェクションする。抗H3-リジン4抗体にてWestern blotを行い、メチル化を確認する。さらに、変異RAR/PML融合タンパク質を用いた転写活性実験を行う予定である。以上の分子生物実験に未使用額を使用する。
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