研究課題/領域番号 |
23591559
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲司 産業医科大学, 医学部, 助教 (10389447)
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研究分担者 |
楠原 浩一 産業医科大学, 医学部, 教授 (20243941)
佐藤 薫 産業医科大学, 医学部, 助教 (70596733)
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キーワード | PFAPA症候群 / 周期性発熱 |
研究概要 |
同一症例で、PFAPA症候群発熱発作時との非発熱発作時検体が両方とも収集できた3名のPFAPA患者と正常対照患者4名について、末梢血単核球からmRNAを抽出し、cDNAに変換した後、cDNA microarrayによる発現の比較を行った。 その結果から、PFAPA症候群発熱発作時において発現が有意に上昇している遺伝子群を抽出した。これらの遺伝子について、同一症例に限らず、PFAPA発熱発作時との非発熱発作時、正常対照群、疾患対照群(各種発熱疾患)の検体を対象に、mRNAを抽出しcDNAに変換した後、定量PCRを行った。これらの結果から、複数個の遺伝子でPFAPA発熱発作時に発現が著明に上昇していることが明らかになった。 PFAPA症候群とアデノウイルス感染症は扁桃炎を伴うことや血液の炎症反応が強いことなどの類似点がある。そこで、発熱期のPFAPA症候群患者とアデノウイルス感染症患者における5種のケモカイン濃度を測定し比較した。その結果、IL-8とCXCL10はPFAPA症候群発熱期、アデノウイルス感染症ともに正常対照と比較して有意に高値であった。CCL5はPFAPA症候群発熱期、アデノウイルス感染症ともに、正常対照と比較して有意に低値であった。CXCL9はPFAPA症候群発熱期のみ正常対照と比較して有意に高値であった。CCL2は3群間で有意差を認めなかった。PFAPA症候群発熱期とアデノウイルス感染症では類似したケモカインプロファイルを呈していたが、CXCL9のみ両者で異なっていた。CXCL9はIFN-γの刺激により主に単球/マクロファージから産生されるケモカインであり、この違いは、両疾患における単球/マクロファージの活性化の違いを反映している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患対照群の症例数が少なく、PFAPA症候群発熱発作時に発現が著明に上昇している遺伝子が、PFAPA症候群に特異的なものであるかの検討が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究施設に働きかけて、疾患対照群からの検体採取を促進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
多数例の疾患対象群とPFAPA症候群発熱発作時との定量PCRでのmRNAの発現比較を行い、PFAPA症候群で特異的に発現が亢進している遺伝子を同定する。さらにこれらの遺伝子の産物のうち血清濃度が測定できるものについては、ELISAまたはcytometric beads arrayにより濃度の違いを確認する。 繰越額が生じた理由であるが、疾患対照群の症例数が不十分であり測定回数が少なかったことが上げられる。繰り返しになるが、共同施設とともに疾患対照群からの検体採取を促進する。
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