研究概要 |
<研究業績の概要> 前年度の研究結果より、PFAPA症候群の病態に単球の活性化が関与していることが示唆されたため、単球性白血病由来細胞株THP-1を用いてin vitroでの検討を行った。 THP-1細胞をlipopolysaccharide (LPS)で刺激することにより培養上清中のIL-β濃度 の上昇がみられる系を、自然免疫応答を模した系としてとらえ、LPS添加の有無による遺伝子発現の比較検討を行った。前年度の、マイクロアレイを出発点とした末梢血単核球の遺伝子発現の解析結果からは、CXCL10 (interferon gamma- induced protein 10,IP-10)、ANKRD22 (ankyrin repeat domain 22)、SERPING1(serine peptidase inhibitor, clade G, member 1)、SLAMF8 (SLAM family member8)、GBP1(guanylate binding protein 1)の発現が、PFAPA症候群の発熱期において上昇していたため、これらの遺伝子のmRNA発現をリアルタイムRT-PCRにて定量した。その結果、CXCL10およびGBP1では、LPS添加によりmRNAの発現が有意に亢進していた。これに対して、SERPING1では、LPS添加により発現が有意に低下していた。ANKRD22とSLAMF8は発現に変化がみられなかった。これらの結果より、PFAPA症候群患者の単球においては、インターフェロンで誘導されるCXCL10およびGBP1が自然免疫応答の主役を担っていることが示唆された。一方、SERPING1は末梢血単核球の単球以外の主分画であるリンパ球において炎症発生に重要な役割を果たしていると考えられた。
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