研究課題
多様な予後臨床像を示す神経芽腫の各サブセットについて最適な治療戦略をたてることを目的に、ゲノム異常と遺伝子発現の観点から悪性化腫瘍に強く関連する分子的特徴を明らかにする。これまでに蓄積してきた神経芽腫組織バンクを解析対象とし、網羅的ゲノムコピー数解析、遺伝子発現解析、エピゲノム解析、マイクロRNA発現解析を組み合わせることにより、新規予後マーカーや治療標的遺伝子の同定を目的とする。平成25年度はこれまでに同定された候補遺伝子について、結果の検証を進め、その結果について学会等で報告した。1. MYCN増幅群のゲノムおよび発現アレイ解析:典型的難治性タイプのMYCN増幅群30例について取得したアレイCGHデータと、患者予後との相関解析を行ったところ、ゲノムコピー数の特定のパターンと死亡群との相関がえられたため、検証用の症例を300例追加し、予後因子としての評価を行った。網羅的遺伝子発現を用いた予後マーカーとの比較から、このゲノムパターンがより高精度に予後不良群を予測することが再現性をもって示された。2. 予後関連マイクロRNAの検証:本研究で抽出した予後に相関する80種類のマイクロRNAのうち、最も相関の高かった2種類について120症例の独立検体を用いて定量PCRを行い、再現性をもって新規予後因子として利用できることを確認した。3. 予後関連エピゲノム変化の検索:神経芽腫細胞株を用いたBisulfite sequenceから絞り込んだ候補遺伝子のうち、予後不良群で発現低下が見られる一つについて、2種類のプライマーセットを作製し、パイロシーケンサーによる定量Bisulfite-PCRを50例の独立症例について行った。本エピゲノムマーカーは上記のゲノムあるいはマイクロRNAマーカーに比して予後との相関はやや低く、リスク分類の構築には後者2つのマーカーが有効であることが示唆された。
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