研究課題
Epstein-Barrウイルス(EBV)は、ヒトに普遍に感染し、小児期では、伝染性単核症から、血球貪食性リンパ組織球症、慢性活動性EBV感染症、および移植後リンパ腫に至るまで広範な疾患の病因ウイルスとして知られている。EBVの初感染では、ウイルスが口蓋咽頭の上皮組織やBリンパ球に感染すると考えられているが、どのように感染が成立し、疾患に進展していくのかは解明されていない。また、EBV関連の悪性疾患では、EBVが通常の標的であるBリンパ球ではなく、Tリンパ球やNKリンパ球に感染していることが特徴であるが、こうした感染がいつ頃生じるのかはわかっていない。私共はEBV感染組織モデルを、ヒトの扁桃組織を用いて確立した。ヒトの扁桃組織は、EBVがヒトへの感染を成立させる局所であり、感染初期の状態を再現できると期待できる。この感染組織から単離したT/NKリンパ球を、フローサイトメータを応用した感染細胞同定法(以下、FISH法)により解析したが、EBV抗原陽性となる細胞数が検出限界に近く、明らかな結論を得ることができなかった。一方、感染モデル組織切片を染色することにより、感染細胞の特定がより明確に行えないか、現在検討中である。FISH法は、染色細胞を変性させて、細胞内のEBV抗原を染色するため、細胞表面抗原の解析がやや困難である。特に、細胞表面を多重染色できれば、感染細胞をより詳細に解析できるため、検討を加え、4種類の表面抗原を同時に解析できる系を確立した。この手法により、感染モデルから単離したリンパ球の性状をより詳しく解析でき、今後解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
感染モデルを用いて、EBVの感染初期の病態について、FISH法および組織染色を用いて解析を継続している。また、FISH法を改良した。
EBV感染モデルから単離したリンパ球について、改良したFISH法による解析を進める。また、本モデルを使用した新規薬剤のスクリーニングについても検討を行う予定。
消耗品として、EBV感染モデル培養に必要な試薬、フローサイトメータ用の抗体、使い捨ての実験器具が必要である。また、研究を進めるために必要な実験助手の人件費、および、成果を発表し研究分野の進捗状況についての情報を得るための学会参加費も計上する予定である。
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