研究課題
Epstein-Barrウイルス(EBV)は、ヒトに普遍に感染し、小児期では、伝染性単核症から、血球貪食性リンパ組織球症、慢性活動性EBV感染症、および移植後リンパ腫に至るまで広範な疾患の病因ウイルスとして知られている。EBVの初感染では、ウイルスが口蓋咽頭の上皮組織やBリンパ球に感染すると考えられているが、どのように感染が成立し、疾患に進展していくのかは解明されていない。また、EBV関連の悪性疾患では、EBVが通常の標的であるBリンパ球ではなく、Tリンパ球やNKリンパ球に感染していることが特徴であるが、こうした感染がいつ頃生じるのかはわかっていない。私共は、ヒトの扁桃組織を用いて確立したEBV感染組織モデルを応用し、感染初期の状態を再現し、解析を進めることを目指してきた。具体的に、この感染モデルの組織切片を加重染色することにより、EBVがナイーブおよびメモリーB細胞へ感染していることを確認した。昨年度までに、がんに対する増殖抑制効果がよく知られているラパマイシンが、mTORという名称の細胞内酵素を介してEBV感染細胞株の増殖を抑制することを確認した。本年は、さらにEBVが感染したT/NKリンパ球に発現する抗CCケモカイン受容体4に対する分子標的薬であるモガムリズマブ(抗CCケモカイン受容体4)、およびEBV感染細胞に発現するウイルス関連膜タンパクであるLMP1の発現を抑制するBIIB021(Hsp90阻害剤)がEBV感染細胞株の増殖を抑制することを確認した。この効果をマウスの系を用いて今後検証していくことが必要がある。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (9件)
J Ped Hematol Onc,
巻: 36 ページ: e65-68
10.1097/MPH.0000000000000008
Journal of Infection and Chemotherapy
巻: 20 ページ: 15-19
10.1016/j.jiac.2013.11.002
Neuropediatrics
巻: 44 ページ: 155-158
10.1055/s-0032-1327772
Nagoya J Med Sci
巻: 75 ページ: 169-179
J Infect Dis
巻: 208 ページ: 771-779
Pediatr Int
巻: 55 ページ: 566-571
10.1111/ped.12122
Microbiol Immunol
巻: 56 ページ: 715-722
doi: 10.1111/1348-0421.12086.
Mol Immunol
巻: 56 ページ: 399-405
10.1016/j.molimm.2013.05.232
Human Pathology
巻: 44 ページ: 2849-2852
10.1016/j.humpath.2013.05.025