研究課題/領域番号 |
23591565
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
澤田 博文 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30362354)
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研究分担者 |
丸山 一男 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20181828)
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺高血圧 |
研究概要 |
培養細胞を用いて、siRNAによりBMPR2を減少させた場合、TNF-αなどの炎症刺激や低酸素によるストレスが増強されることをしめした。(2011American Heart Associationで発表、一部未発表)これらの、培養細胞で見られる現象のin vivo での意義を検討するため研究を行っている。 まず、これまでに、動物モデルの確立を目指し、TNF-αの投与による、肺高血圧モデルが作成可能か検討を行った。まず、野生型マウスを用いて、TNF-α(0.5, 1.5, 4.5 μg)による、in vivoでのGM-CSF誘導能を検討したところ、4.5 μg投与したマウスで、血中GM-CSFが検出可能であった。しかし、これらのマウスは、24時間以内に死亡した。これらから、in vivoで GM-CSFはTNF-αにより誘導されることが示されたが、GM-CSFを検出可能なまでに上昇させるTNF-αは、致死的である可能性が考えられた。そのため、投与量を1.5μg とし、BMPR2(+/-)とコントロールマウスに投与し、肺高血圧、血管病変を検討した。2週間後、肺高血圧を評価した。BMPR2マウスで優位な右室圧の上昇は見られなかった。 依然BMPR2の肺高血圧病変形成での役割は不明である。また、炎症反応は、臨床的、疫学的に血管病変形成に関与が示唆されるが、いかに病変形成に関わるかは不明である。上記のTNF-αを含め、炎症刺激さらには炎症に関わる機序について、BMPR2異常マウスを用いて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画書に記載した目標1)『BMPR2(+/-)マウス、Math6(-/-)マウスにTNF-αを投与し、コントロールに対して、より高度のGM-CSFなどの炎症性メディエータ上昇、肺高血圧性肺血管病変が形成されるかを検証する。』に沿って、検討を開始した。TNF-αの投与により、高用量でGM-CSFが誘導されることが示されたが、その量は、血管病変形成を検討するには、敗血症様症状により致死的であることが判明し、それよりも低用量では右室圧上昇が惹起されないことが明らかとなり、TNF-αのみによる肺高血圧モデル作成困難な可能性が出ている。そのため、モデルの誘発方法に関して、再考を要し、炎症刺激に加えて、低酸素、さらには最近報告された、肺高血圧を誘発するSugenを用いた刺激によるモデル作成を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
マウスにおいてはTNF-αのみによる右室圧上昇が惹起されないことが明らかとなり、投与量の検討から、肺高血圧モデル作成困難な可能性が出ている。そのため、炎症刺激に加えて、低酸素、肺高血圧を誘発するSugen5416を用いた刺激によるモデル作成を検討している。これらは、申請書時にも代替的アプローチとして考慮していた内容である。我々の培養細胞を用いた検討では、siRNAを用いてBMPR2を減少させた細胞では、低酸素に対するストレス応答も変化することが見られた。(未発表データ)これらから、低酸素やSugenに対する反応を検討することは、本研究計画の目的である、BMPR2の肺高血圧病変形成での役割はの解明、にも合致するものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も、主に、マウスモデルの作成を行うため、マウス飼育、PCRなど遺伝子型解析、圧の測定、免疫染色やElISAなど血管炎症の評価、血管病変評価に使用する試薬の購入に研究費を使用する予定である。
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