研究課題
培養細胞を用いて、siRNAによりBMPR2を減少させた場合、TNF-αなどの炎症刺激や低酸素によるストレスが増強されることをしめした。(Sawada H, J Exp Med. 2014 ;211(2):263-80)これらの、培養細胞で見られる現象のin vivo での意義を検討するため研究を行った。 まず、動物モデルの確立を目指し、TNF-αの投与による、肺高血圧モデルが作成可能か検討を行った。まず、野生型マウスを用いて、TNF-α(0.5, 1.5, 4.5 μg)による、in vivoでのGM-CSF誘導能を検討したところ、4.5 μg投与したマウスで、血中GM-CSFが検出可能であった。しかし、これらのマウスは、24時間以内に死亡した。これらから、in vivoで GM-CSFはTNF-αにより誘導されることが示されたが、GM-CSFを検出可能なまでに上昇させるTNF-αは、致死的である可能性が考えられた。そのため、投与量を1.5μg とし、BMPR2(+/-)とコントロールマウスに投与し、肺高血圧、血管病変を検討した。2週間後、肺高血圧を評価した。BMPR2マウスで優位な右室圧の上昇は見られなかった。GM-CSF直接投与は、低酸素肺高血圧を増悪させ、高GM-CSF抗体投与により低酸素肺高血圧を改善された。(Sawada H, J Exp Med. 2014 ;211(2):263-80)依然BMPR2の肺高血圧病変形成での役割は不明である。今回の研究から、GM-CSFを介した炎症反応は、血管病変形成促進的な関与が示唆されるが、当初の計画である、in vivoで肺高血圧におけるBMPR-2異常、炎症の連関を十分には説明はできなかった。
すべて 2014
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Journal of Experimental Medicine
巻: 211 ページ: 263-280
10.1084/jem.20111741.