研究概要 |
平成23-24年にin vitroのシステム(肺動脈平滑筋細胞、肺動脈内皮細胞)を用いて、cGMP恒常産生ナトリウム利尿ペプチド受容体変異体(Mut)の機能解析を行った。 Mutを導入した肺動脈平滑筋細胞においては、細胞内cGMPの著増を認め(GFP control(GFP), 0.097±0.050 pmol/L; Wid type(wt), 0.084±0.039 pmol/L; Mutant(mut), 18.09±1.39pmol/L)、遺伝子導入48時間後の細胞数は有意に減少し、細胞周期解析にて増殖能の低下を認めた。また細胞死についてannexin-V陽性細胞について検討したところ、Mutを導入した肺動脈平滑筋細胞において、ベースラインではApoptosisの増加はなかったが、camptothecinを添加すると、Apoptosisの増加を認め、Apoptosisに対する感受性増加を認めた(Annexin-V陽性細胞の割合: GFP, 6.4±1.0%; WT, 8.1±2.4%; Mut, 10.4±1.7%)。 一方、肺動脈内皮細胞においては細胞内cGMPの増加は認めたが、増殖能や細胞死に影響は認めなかった。 次に平成25年度にin vivoのシステム(肺高血圧モデルラット)を用いて、肺高血圧に対する治療効果の可能性について検討した。 動物実験モデルはSugenPAHモデルラットを作成した。SU5416と低酸素環境で作成したsugenPAHモデルラットは肺高血圧症を発症し、右室肥大を認め、組織において肺動脈中膜肥厚と内膜病変を認めた。Mutを経気道的にラットの肺内に投与し、治療効果を確認したところ、肺動脈の中膜肥厚が改善し、肺高血圧における血管リモデリングが改善する可能性が示唆された。(GFP, 52±13%; WT, 50±4%; Mut, 44±2%, n=4).
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