研究課題/領域番号 |
23591572
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田内 久道 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (30314959)
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研究分担者 |
石井 榮一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20176126)
江口 真理子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40420781)
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キーワード | EBウイルス / 細胞傷害性T細胞 / 血球貪食症候群 |
研究概要 |
日本人に認められるHLAの型を保有しない健常者をドナーとして、末梢血から単核球を分離した。その単核球にEBウイルスを感染させてBリンパ球系の細胞株を樹立した(KI-LCL)。また、日本人に普遍的に保持されるHLAハプロタイプを持つ健常者からも末梢血単核球を提供して頂き、同様にBリンパ球系の細胞株を樹立した(TA-LCL)。 先天性白皮症、好中球巨大顆粒を有しChediak-Higashi症候群と診断された患者さんで、血球貪食症候群(HLH)を合併した患者と合併していない患者の血液検体を得た。 このEBを感染させたLCL株を用いて、これらの患者のリンパ球機能解析を行った。 患者から分離された末梢血単核球をKI-LCL株と混合して刺激する(リンパ球混合刺激)を行いCD8陽性T細胞を分離する事により、KI-LCLの持つHLAに特異的に反応する細胞傷害性T細胞(CTL)を樹立した。これらのT細胞を用いて、樹立されたCTLのKI-LCLに対する細胞傷害活性をCr放出試験により評価、比較した。 その結果、血球貪食症候群を合併したPatient1は合併していないPatient2と比較してより、CTLの細胞傷害活性の機能が損なわれていることが判明した。 また、CTLはT細胞受容体を介して抗原を認識し、小胞体からのPerforin、Granzymeを放出し標的細胞を障害する。小胞体からの脱顆粒が生じた際に表出されるCD107a抗原をフローサイトメトリーで検出し、CTLの脱顆粒機能の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EBウイルス由来免疫原性エピトープの同定と抗原エピトープ特異的ヒトCTLクローンの樹立のため、HLAの型を保有しないドナーの末梢血から単核球にEBウイルスを感染させてBリンパ球系の細胞株を樹立した(KI-LCL)。また、日本人に普遍的に保持されるHLAハプロタイプのBリンパ球系の細胞株を樹立した(TA-LCL)。これを用い 先天性白皮症、好中球巨大顆粒を有しChediak-Higashi症候群と診断された患者さんで、血球貪食症候群(HLH)を合併した患者と合併していない患者のリンパ球機能解析を行った。 これらの解析により、患者リンパ球によるEBウイルス感染細胞に対する障害の機能に関しては解析が進んでいる。 EBV-HLHモデルマウスの作成に関しては、CD34陽性細胞に対しSH2DIA遺伝子またはBIRC4遺伝子をノックダウンさせたNOD/SCID/IL-2receptorγcahinnull(NOG)マウスの作成に今後の工夫が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
EBウイルス関連血球貪食症候群(EBV-HLH)と慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)をはじめとするEBウイルスに対して生体が正常反応を示さない種々の疾患の患者検体を用いて、リンパ球の機能解析をさらに進める。 EBV-HLHモデルマウスの作成に関しては、CD34陽性細胞に対しSH2DIA遺伝子またはBIRC4遺伝子をノックダウンさせたNOD/SCID/IL-2receptorγcahinnull(NOG)マウスの作成に今後の工夫が必要であり検討を要する。
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次年度の研究費の使用計画 |
リンパ球解析のための試薬やペプチドの合成および解析のための物品購入に充てる。 消耗品の購入にも用いる。
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