研究課題/領域番号 |
23591573
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤枝 幹也 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (60209020)
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研究分担者 |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50263976)
村上 雅尚 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80571017)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ウイルス / 感染症 / 微生物 |
研究概要 |
慢性活動性EBウイルス感染症は小児に多くみられる予後不良の疾患である。これまでの慢性活動性EBウイルス感染症の研究では、疾患特異的細胞側遺伝子の解析データは十分に蓄積されているとは言えない。しかも従来の研究は細胞株を使ってのデータが多く、患者in vivoでの病態を正確に反映しているとは限らない。本研究では生体内に近い状態にある細胞側の遺伝子発現を解析し、慢性活動性EBウイルス感染症特異的に発現変化する遺伝子の同定を行なった。 慢性活動性EBウイルス感染症患者末梢血よりリンパ球を分離し、培養に供することなくRNAを抽出し、cDNAを合成した。これまでの細胞株を使っての報告を参照し、慢性活動性EBウイルス感染症で特異的に発現される細胞側遺伝子の候補として29の遺伝子を取り上げ、健常人サンプルをコントロールにして、定量的リアルタイムRT-PCRにて解析した。その結果、統計学的有意差が認められた遺伝子として、過剰発現がみられた遺伝子はCDH9、RIPK2、TP73 であり、一方発現の低下がみられた遺伝子はABCA2、CD44、CDK2、CUL5、EGR1、FCER2、FOS、NCOA3、NFE2L2、SAA2、TNFRSF10D であった。しかし、CDH9とRIPK2を除く他の遺伝子では、伝染性単核球症やEBウイルス関連血球貪食リンパ組織球症でも同様にその遺伝子の発現に有意差が認められた。 以上の結果より、CDH9とRIPK2は慢性活動性EBウイルス感染症で特異的に過剰発現される遺伝子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに慢性活動性EBウイルス感染症における細胞側遺伝子の発現についての報告は1報のみにとどまっていた。しかしそれは細胞株を使って得られたものであり、必ずしも患者in vivoでの病態を正確に反映しているとは言えなかった。 本研究では、慢性活動性EBウイルス感染症患者から得られたリンパ球から、培養に供することなく、慢性活動性EBウイルス感染症特異的に発現変化する候補遺伝子を同定することに成功した。その結果、CDH9とRIPK2遺伝子がとり上げられたが、RIPK2遺伝子はアポトーシスやオートファージに関与する遺伝子であり、この遺伝子を標的にした慢性活動性EBウイルス感染症に対する新規治療法の展開に繋がる可能性が示唆された。 以上を総合し、本研究は当初の計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
慢性活動性EBウイルス感染症の患者数は決して多くなく、大規模な研究を進めていくことに限界はあるが、本研究課題において現段階までに同定することができた本疾患特異的に発現する遺伝子が病態形成にどのように関与しているのかについて研究を推進していく。 また別のアプローチとして、PCRプライマーアレイを使い、慢性活動性EBウイルス感染症特異的に過剰発現される、あるいは発現低下がみられる新たな細胞側遺伝子の同定にあたる。 また本研究を推進していく過程で、伝染性単核球症やEBウイルス関連血球貪食リンパ組織球症の病態解明にも繋がる研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、本研究を滞りなく遂行するための機器の購入と遺伝子の定量的検出システムの確立のための予算を執行した。一方でその他の経費は最低必要限に抑えたため、若干の繰越金が発生した。 次年度は、PCRアレイシステム、遺伝子検出関連試薬、プラスティック器具などの物品費、および成果発表のための国内旅費などに予算の計上を予定している。
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