研究課題/領域番号 |
23591575
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00305369)
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研究分担者 |
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
陶山 和秀 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90423798)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20171217)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | M1マクロファージ / M2マクロファージ / CD163 / CD204 / CD86 / スキッドマウス / 糸球体再生 |
研究概要 |
[目的]マクロファージは産生するサイトカインの種類により主に感染・免疫疾患に関与するM1マクロファージと組織修復に関連するM2マクロファージの2種類に分類されることが報告されている。しかしながら、実際の炎症性疾患、特に慢性腎炎をはじめとした腎疾患におけるM1、M2マクロファージの報告は少なく、ヒトの慢性糸球体腎炎におけるその役割は依然として不明のままである。私達は、小児期発症慢性糸球体腎炎の代表的疾患であるIgA腎症における治療前後の腎生検組織を用いて、M1・M2マクロファージの浸潤度と腎組織硬化度と予後との関連性について検討した。[対象]2003年以降当科に入院加療したした重症型IgA腎症50症例を対象とし、その治療反応性から治療反応群(1群)と治療不能群(2群)にわけ、その初回および再腎生検組織を用いM1マクロファージマーカーであるCD86とM2マクロファージマーカーであるCD163、CD204を免疫染色し、その染色度と臨床症状や検査成績、検尿所見と腎生検組織における急性変化、慢性変化、α―Smooth muscle actin(SMA)の染色性に関し比較検討した。[結果]1)2群患児では1群患児と比較して、CD163, CD204, CD86陽性細胞の糸球体内や間質内浸潤が多く認められた。2)糸球体内や間質内におけるCD204やCD163陽性細胞の浸潤度は、慢性指数やα―SMA陽性細胞の浸潤度と正の相関性が認められた。[結語] 糸球体内に浸潤したCD204やCD163陽性細胞のM2マクロファージは、IgA腎症の活動性や腎組織の硬化性病変の進展と密接な関わりを有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの慢性糸球体腎炎におけるM1マクロファージ(CD86)、M2マクロファージ(CD163, CD204)の役割、特に疾患活動性や硬化性病変の進展への関与を明らかにすることができたので上記と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
先天性免疫不全ラットからM1マクロファージ、M2マクロファージ優位ラットを作成した後、各種腎炎モデルを発症させ、経時的腎障害と血管新生、アポトーシスを含めた修復・再生過程におけるマクロファージの働きと肝細胞増殖因子(HGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などの腎再生因子との関連性について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
SCIDラット購入、飼育費M1、M2マクロファージの各種抗体と肝細胞増殖因子(HGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などの腎再生因子に対する抗体を購入腎組織の光顕、蛍光抗体法、電子顕微鏡検体処理費に使用
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