研究課題/領域番号 |
23591578
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岡 達二郎 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80433283)
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研究分担者 |
糸井 利幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264780)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 |
研究概要 |
チアノーゼ性先天性心疾患モデルとしてSpraque Dawley rat 4週齢オスを無作為に2群に分け、窒素を用いて10.5%FiO2としたチャンバー内に飼育した低酸素群、room air下で飼育した対照群として、それぞれ2週間を飼育した。餌(CRF-1, Charles River, Yokohama, Japan)および水の摂取は制限なしとした。モデルの完成度として、心筋重量、体重、心体重比をそれぞれ測定し、対照群が心 810mg、体重 238g、心体重比 3.46 mg/gに比較して低酸素群が心901mg (vs対照群n.s.)、体重192g (p<0.01)、心体重比が4.69mg/g (p<0.05)と心筋肥大を示した。次に心機能を評価するためにランゲンドルフ灌流(上向大動脈にカニューラを挿入し逆行性に冠動脈へバッファを送血する)を用いたin vitro実験を行った。用いたbufferは5.5 mM glucose, no BSA, no fat, modified Krebs Henseleit solutionである。灌流コースは20分灌流, 45分虚血、40分再灌流とした。虚血障害を評価するのに、心拍数、収縮期血圧の積を用いた。(虚血後)/(虚血前の平均値)を求めると5分値では有意に低酸素群が高値(回復率が良い)であったが、20分値では差を認めなかった。今後は灌流後速やかにー80度に保存した組織を用いて、脂肪酸構成、過酸化反応蛋白の測定、および組織学的評価を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル作成に際しては、上記のとおり有意差をもって肥大を認めており、これまでの過去の報告とも相違ない。本来ならより生理学的に近い左房送血、上向大動脈脱血の閉鎖式灌流を用いることを目標にしている(ランゲンドルフ灌流に比べ心筋におけるエネルギー代謝は2倍以上とされている、つまり虚血後障害により鋭敏に反応する)が、今のところ安定したデータを得られず、現在ランゲンドルフ灌流を用いている。ランゲンドルフ灌流後の心筋は速やかにー80度の保存を行っており、すでに確立しているガスクロマトグラフィーおよびエレクトロンスプレー法質量分析による脂肪酸構成、過酸化関連蛋白(HEL, PRL, 4HNE)を用いた蛋白測定、免疫染色の技術を習得中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き灌流実験(左房送血、大動脈脱血)も並行に、分子生物学的評価を進めていく
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次年度の研究費の使用計画 |
心筋から抽出した総脂肪酸をSep-Packカラムにて分離後、ガスクロマトグラフィー質量分析およびイオントラップ型質量分析にて脂肪酸構成およびリン脂質構造の評価を行う。各抗酸化酵素測定としてsuperoxide dismutase, catalase, glutathione peroxidaseを測定する。また脂質過酸化における一次産生物に反応するNε-(Hexanoyl) Lysine(HEL)およびPropanoyl-lysine(PRL)を用いた蛋白測定を行い、虚血後再灌流障害から発生する過酸化をより鋭敏に判定する。
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