研究課題/領域番号 |
23591578
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岡 達二郎 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80433283)
|
研究分担者 |
糸井 利幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264780)
|
キーワード | 先天性心疾患モデル |
研究概要 |
(モデル作成達成)低酸素換気による飼育および容量負荷目的の大動脈下大静脈間の短絡作成術を確立した。低酸素負荷群は対照群に比べ有意に体重減少が認められたが心臓・体重比は群間差を認めず低酸素負荷に伴う肥大変化が示唆された。容量負荷では対照群との差は認めず、心臓重量は増大し、肥大変化が示唆された。 (灌流システムの完成)2週間低酸素負荷後にペントバルビツールによる鎮静後孤立心臓灌流を行った。灌流プロトコールは30分灌流後20分虚血そして30分再灌流とした。現時点で低酸素負荷モデル群と対照群(room air)間で30分灌流でのダブルプロダクト(心拍数と収縮期血圧の積)に差を認めなかった。20分虚血後の回復率(再灌流時/虚血前のダブルプロダクトの比)では明確な差は認めなかった。今後症例数を増やす予定である。 (心筋脂肪酸構成測定の進行状況)低酸素負荷による心筋脂肪酸構成をガスクロマトグラフィー質量分析器で計測中である。 (各種蛋白定量の進行状況)低酸素負荷および容量負荷に伴う低酸素誘導因子(hypoxia induced fator 1α)およびエネルギー代謝(糖代謝および脂肪酸代謝)に関しては、律速段階にあたるそれぞれの蛋白量をウェスタンブロットで測定すべく現在準備中である。 (2重負荷モデル今後、短絡術後に低酸素負荷の2重負荷モデルを作成し、上記で述べた心体重比、各種蛋白量発現を測定し、そして同様のプロトコールでの心臓灌流を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心臓灌流の確立に時間を要しそのため進行が遅れたが、現時点で対照群を用いた場合手技的には確立されたと言える。しかし、低酸素負荷モデルにおいては体重減少が認められ、心重量も有意差を持って小さく、そのため低酸素負荷モデルでの心臓灌流成功が確立されたところまでは達成できていない。現時点での灌流結果で低酸素群と対照群で差が認められないことが、手技的なところから発生していることが否定できないため、今後更に症例を増やすことで解決を図りたいと考える。これまでの経験で容量負荷モデルの心臓は対照群よりも有意差を持って肥大しており、灌流の技術的困難さはさほどではないと判断している。ウェスタンブロットによる蛋白定量および脂肪酸構成の測定に関して方法論的に確立しており試料が集まった時点で随時測定を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは小さい心臓に対する心臓灌流の技術の確立を果たす。そのために、灌流システムの改良(大動脈、左心房への送血カニューラのサイズダウン)および拡大鏡の利用により、改善を行っている。それと並行に容量負荷のモデル作成、容量負荷後低酸素負荷の2重負荷のモデル作成を行い、形態的およびHIF1α関連、エネルギー代謝関連の各種蛋白定量、脂肪酸構成の測定を進める。小さい心臓に対する灌流が確立すれば、上記の蛋白定量、脂肪酸構成の測定を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(モデル作成)容量負荷モデルの作成、容量負荷後低酸素負荷の2重負荷モデルの作成を行う。 (心灌流)容量負荷および2重負荷モデルを用いた心臓灌流 (上記の2群における各種蛋白定量、脂肪酸構成の測定)HIF1α関連、エネルギー代謝関連の各種蛋白定量、脂肪酸構成の測定を進める。 得られた結果を用いた学会報告、および英文化をできるだけ進める。
|