研究課題/領域番号 |
23591582
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
徳山 研一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30237078)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 気道可逆性 / 末梢気道炎症 / 末梢気道閉塞 / 一酸化窒素 / NO |
研究概要 |
【目的】気管支喘息(以下、喘息)の病態として末梢気道炎症の重要性が認識されている。我々は無治療にて臨床的寛解を維持している喘息児に気道可逆性試験を行い、その中に可逆的な末梢気道閉塞残存例が多く含まれることをすでに報告した。今回可逆的末梢気道閉塞残存例に対して呼気NO濃度(FeNO)を測定し、気道炎症の状態を評価した。【方法】無治療あるいは治療中にて無発作状態にある喘息児32症例(平均年齢13.6歳)について気道可逆性試験を行い、β2刺激薬吸入前後のフローボリュームカーブの変化パターンから無変化型、末梢気道閉塞改善型、中枢気道閉塞改善型、全般改善型の4群に分類した。FeNOはNIOX MINO○Rを用いて測定した。【結果】気道可逆性試験の変化パターンは無変化型16例、末梢気道閉塞型15例、中枢気道閉塞改善型0例、全般改善型1例であった。このうち、無治療にて末梢気道閉塞改善型(n=7) のFeNO値は64.1であった。これに対し、無治療で無変化型(n=4)、治療中で末梢気道閉塞改善型(n=8)および治療中で無変化型(n=12)におけるFeNO値は順に、95.7、64.7、58.0であり、各群間に統計学的有意差はなかった。【結論】無治療にて可逆的末梢気道閉塞を有する児のFeNO値は非残存例や治療継続例と差がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究統括である徳山の指導の下、連携研究者・盛田、古賀が連携して、研究を遂行している。 無投薬にて無発作状態が続く思春期の喘息児、あるいは日本小児アレルギー学会作成"小児気管支喘息治療管理ガイドライン2012"(JPGL2012) に則った治療計画でstep 2 の治療を継続しており、無発作状態が3カ月以上継続している児、計32名について気道可逆性試験および呼気中一酸化窒素(NO)濃度を同時に測定できた。その結果、現時点では無治療にて可逆的末梢気道閉塞を有する児のNO値は非残存例や治療継続例と差がなかった(研究実績の概要参照)。これらの症例のうち、特に無投薬にて無発作状態が続く児に対しては機会を見て運動負荷試験を行い、寛解状態の評価を行う。また呼気凝縮液および誘発喀痰から得られたサンプルを用い、各種バイオマーカーの測定を行いたい
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今後の研究の推進方策 |
1.無投薬にて無発作状態が続く思春期の喘息児、あるいはJPGL2012に則った治療計画でstep 2 の治療を継続しており、無発作状態が3カ月以上継続している児を対象とした気道可逆性試験および呼気中NO濃度の測定を継続し、対象症例数を増やす。2.特に無投薬にて無発作状態が続く児に対しては機会をみて運動負荷試験などにて寛解状態の客観的評価を行う。これらの児のうちinformed consent が得られた児に対しては吸入ステロイド薬および抗ロイコトリエン薬を3カ月ずつ計6か月投与する。3.他の炎症マーカーの測定:呼気凝縮液および誘発喀痰から得られたサンプルを用い、各種バイオマーカーの測定を行いたい
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次年度の研究費の使用計画 |
1.炎症マーカー評価のための化学薬品、試薬キットを購入する。2.データ解析用パソコンの周辺機器の購入3.書籍・辞書およびデータ整理のための文房具4.本研究テーマ遂行のための国内あるいは国外の関連学会への参加5.気道可逆性試験、呼気中NO濃度の測定などの呼吸機能評価のための機器のメインテナンスや消耗品の購入6.23年度の繰り越し額826,844円については、主に出席を予定していた国際学会に都合で出席できなくなったためであり、24年度出席のために使用する。
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