研究課題/領域番号 |
23591582
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
徳山 研一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30237078)
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キーワード | 一酸化窒素 / 気管支喘息 / 気道可逆性 / FeNO / 末梢気道炎症 / 末梢気道閉塞 / 強制オシレーション法 / モストグラフ |
研究概要 |
小児の気管支喘息(以下、喘息)では思春期前後に臨床的に寛解状態していく例がみられる。成人と同様小児においても喘息は気道の慢性炎症性疾患と考えられているが、このような臨床的寛解例の気道炎症の残存状態は不明の点が多い。我々は無治療にて臨床的寛解を維持している喘息児の中には可逆的な末梢気道閉塞残存例が多く含まれることを報告し、昨年度はこれらの児に対して呼気中NO濃度(FeNO)を測定し、非寛解児・治療継続児と比較した。その結果、末梢気道閉塞の有無にかかわらず、臨床的寛解児のFeNO値は非寛解児・治療継続児と差がないことを示した。これらの結果は、2013 American Thoracic Society meeting でaccept され、発表予定である。今年度はさらに例数を増やすとともに、同一症例の気道閉塞状態とFeNO値の継時的変化を検討中である。 更に本年度は、新たな末梢気道閉塞の指標として強制オシレーション法(FOT)であるモストグラフ®の指標とFeNO値との関連について検討を開始している。その結果、preliminary study として、気管支喘息発作時では気道抵抗が有意に高値である、β2刺激薬吸入による気道抵抗変化群と不変群では発作頻度に有意差はなかったが、不変群の方が重症度が軽症である傾向にあった、モストグラフは臨床症状だけでは判断しにくい気道抵抗の状態を評価しうる可能性がある、などの結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究統括である徳山の指導の下、連携研究者・盛田、古賀が連携して、研究を遂行している。 昨年度に引き続き、無投薬にて臨床的に寛解状態が続く思春期喘息児、並びに治療を継続し無発作状態が継続している児を対象に、気道可逆性試験およびFeNO濃度を同時に測定し、例数の増加と経時的変化の評価を実施している。 更に本年度はモストグラフ®を導入し、臨床的に寛解状態が続く思春期喘息児の中枢、末梢の気道抵抗やリアクタンスの特徴をβ2刺激薬吸入前後の変化を含め検討を開始しており徐々にデータが集積しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
1.気道可逆性試験およびFeNO濃度測定例の例数を増やす。 2.特に無投薬にて無発作状態が続く児のうちinformed consentが得られた児に対しては吸入ステロイド薬や抗ロイコトリエン薬を開始し、臨床症状に加え、現在実施中の諸検査値がどのように変化するか定期的に経過観察する。 3.臨床的に寛解状態が続く思春期喘息児における気道可逆性、FeNO値、モストグラフ®における各炎症パラメーターの測定結果から、相互の関連や相関の有無を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.炎症マーカー評価のための化学薬品、試薬キットを購入する。 2.データ解析用パソコンの周辺機器の購入 3.書籍・辞書およびデータ整理のための文房具 4.本研究テーマ遂行のための国内あるいは国外の関連学会への参加 5.気道可逆性試験、呼気中.. NO濃度の測定などの呼吸機能評価のための機器のメインテナンスや消耗品の購入
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