研究概要 |
成人と同様小児の気管支喘息(以下、喘息)は気道の慢性炎症性疾患と考えられている。小児の喘息では思春期前後に臨床的に寛解していく例が少なからず存在するが、我々は無治療にて臨床的寛解を維持している喘息児の中には肺機能上、可逆的な末梢気道閉塞残存例が多く含まれることを既に報告した。今回はこれらの児に対して呼気中NO濃度(FeNO)を測定し気道炎症残存状態を評価した。可逆的な気道閉塞残存の有無は気道可逆性試験を行い判定した。即ち、β2刺激薬吸入前後の肺機能変化パターンから無変化型、末梢気道閉塞改善型、中枢気道閉塞改善型、全般改善型の4群に分類したところ、末梢気道閉塞改善型が最も多く、次いで末梢気道閉塞を含む全般改善型、無変化型の順であった。FeNOはNIOX MINOを用いて測定したが、末梢気道閉塞の有無にかかわらず、臨床的寛解児のFeNO値は非寛解児・喘息治療継続児と差がないことが判明した。これらの結果の一部は、2013 American Thoracic Society meeting (Philadelphia, USA)で発表した。その後例数を増やし、臨床的寛解児の中で特に、FeNOが高値を示す症例の背景因子を現在検討している。その結果、治療中止後の期間と比例してFeNOが上昇している傾向がみられるなど、臨床的寛解例の中には、気道炎症残存例が多く存在することが示唆された。
|