研究課題
私達はラットにおいて母体低栄養は尿管芽分岐を抑制することを見いだしている。また昨年度、母体低栄養により後腎でメチル化されている遺伝子には尿管芽分岐に関与するものが多いことを報告した。今年度は母体低栄養における全般的DNAメチル化、DNAメチル化酵素DNMT1の発現、低メチル化遺伝子を検討した。母体低栄養(50%飼料制限)および対照ラットの胎生18日後腎の全般的メチル化をmethylated DNA quantification kitで、DNMT1の発現をイムノブロットで、低メチル化遺伝子をMeDIP-chip法で検討した。母体低栄養後腎の全般的メチル化は対照に比し30%減少していた。DNMT1発現は胎生15日後腎では母体低栄養で対照に比し低下していたがその後同等となり生後7日以降対照、母体低栄養共に消失した。15911のプロモーター領域のうち5529のメチル化が母体低栄養において低下していた。低メチル化状態の、生理機構の負の制御のカテゴリーに属する遺伝子数は母体低栄養で338と対照の262に比し多かった。腎発生を負に制御する遺伝子のうち母体低栄養でメチル化が低下していたものは有意差が大きい順にActivin A受容体、Axin1、STAT1、Osr1、TASTD2、Spry1、TGF-β受容体II、Sema3a、Noggin、GSK3βなどでほとんどが尿管芽分岐抑制因子であった。母体低栄養により全般的および尿管芽分岐を負に制御する遺伝子のメチル化が低下する。低メチル化には発生早期のDNMT1発現減少が関与している可能性がある。
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10.1002/ajmg.a.35829