研究課題/領域番号 |
23591586
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402)
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研究分担者 |
國島 伸治 名古屋医療センター, 臨床研究センター, 室長 (60373495)
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
三浦 健一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70408483)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | MYH9 / NMMHC-IIA / podocyte / FSGS / proteinuria |
研究概要 |
MYH9は遺伝性腎炎(Epstein症候群)の責任遺伝子であり、非筋性ミオシン重鎖IIA(以下myoIIA)をコードしている。近年のゲノムワイド解析から、MYH9遺伝子の特定のSNPsと特発生FSGS発症が連鎖することが明らかとなり、MYH9が「特発性FSGS」の原因遺伝子の一つである可能性がきわめて高いと考えられるようになった。私たちは、Epstein症候群患者解析およびMYH9でコードされるのmyoIIAの分子レベルでの解析を行い、FSGS発症のメカニズム研究をおこなった。本年度の研究成果として、myoIIAがpodocyteの足突起ではなく、細胞体および一次突起に主に発現していることを、免疫蛍光抗体法および免疫電顕法により確認した。これまで知られている遺伝性FSGSの発症原因となる分子のすべてはpodocyteの足突起に発現しているおり、myoIIAの局在はFSGS関連分子としては異例である。また、免疫組織染色により、Epstein症候群患者でmyoIIA分子のpodocyteでの発現が低下しているのと同様に、ヒトFSGSで特異的にmyoIIA蛋白の発現低下が認められる傍証を得ている。本年度はさらに、myoIIA分子の局在、生理的役割、病態生理学的な変化を明確にするために、複数のmyoIIA抗体の特異性を確かめ、それぞれの特性を明らかにした。この成果により、これまで多少曖昧な部分を残していたmyoIIAの局在および機能について考察を深めている。今後は特異性の高い抗体を中心に、これまでの研究成果をより厳密に検証し、さらに、病態時のmyoIIAの挙動をpodocyte biologyの中で明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
myoIIAの局在を複数の方法で確認し、さらに特異度の高い抗体を見いだしたことは、今後の研究進展にとってきわめて意義深い。今年度の結果が、詳細なmyoIIAの分子挙動解析につながる端緒となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ヒトネフローゼ症候群、腎炎でのmyoIIA分子の変化を、特異度の高い抗体を用いて詳細に観察し、ヒト病態でのmyoIIA分子の意義を解明する。さらに、培養細胞系を用いて、myoIIAの機能を明確にし、阻害実験や、他のpodocyte分子との機能連関を明らかにする。またこうした知見をEpstein症候群の患者治療への応用として考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は学会発表旅費などを使用しなかったため、未使用額が発生した。24年度ではその分を研究消耗品などに充てる予定である。
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