研究課題
本研究は、「難治性ネフローゼ症候群の分子病因・病態」を明らかにすることにある。これまでの基礎的研究から、特発性ネフローゼ症候群と連鎖が証明されたmyosin IIA分子(MYH9がコード)の先天的異常によるEpstein症候群の解析を中心に行ってきた。過去2年間の研究により、「ヒト特発性ネフローゼ症候群患者」、および、「ラットPAN腎症モデル」において、myosin IIAの分子挙動について、免疫組織、経口免疫組織、免疫電顕などの手法を用いて詳細に検討した。この結果、ヒト特発性ネフローゼ症候群では、FSGSのみにmyosin IIAの発現低下を認め(他の腎炎では認めず)、また、他の、podocyteマーカー蛋白にこの現象を認めなかった。さらに、複数のラットを用いたPAN腎症モデルでも蛋白尿発現時期に一致したmyosin IIA分子の発現低下を認めた。こうした結果はヒト特発性ネフローゼ症候群の病態にmyosin IIA分子の発現低下が関与していることを決定づけるものであり、「Nephrol Dial Transplant. 2993-3003, 2013」に掲載された。現在さらに、myosin IIA 分子のpodocyte内局在をもとに、他の骨格蛋白との相互作用とその機能的意義を追求している。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Nephrol Dial Transplant
巻: 28(12) ページ: 2993-3003
10.1093/ndt/gft350