研究課題
代表的な生活習慣病である糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満症は、お互いに合併することが多い。さらに動脈硬化症の危険因子であり、これらをまとめた疾患概念として、メタボリックシンドロームがある。生活習慣病の予防には、小児期から肥満を発見し、進行の予防および治療することが重要である。肥満の増加に伴い、非アルコール性脂肪肝疾患の有病率も上昇している。非アルコール性脂肪肝疾患のひとつとして非アルコール性脂肪肝炎がある。非アルコール性脂肪肝炎は肝脂肪変性に肝実質の炎症・壊死,線維化を伴う慢性の炎症性疾患である。その発症進行機序には、肝細胞に脂肪酸あるいは中性脂肪の蓄積することに加えて、エンドトキシン、酸化ストレス、サイトカインなどの関与が推察されている。そこで今回我々は、小児における脂肪性肝疾患の臨床像を明らかにすることを試みて、酸化ストレスの関与を検討する。さらに非アルコール性脂肪性肝疾患モデルの動物実験において、抗酸化剤による治療効果を検討する。現在の研究内容は、次のとおりである。非アルコール性脂肪肝疾患モデルラット(メチオニン・コリン制限食)を作成し、抗酸化剤(ビタミンE同族体)の治療効果およびメカニズムを詳細に検討した。さらにα-トコフェロールを投与し、抗酸化メカニズムを検討した。この時に、肝臓ビタミンE関連タンパク質の検討したところ、非アルコール性脂肪肝モデルラットにおいて、ビタミンE代謝が変化することを見いだした。また、ビタミンE治療において、ビタミンE動態を調節する転写因子として、核内受容体LXR(liver X receptor)を同定した。さらにビタミンE結合タンパク質afaminがビタミンE治療の指標になる可能性が示唆された。
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