研究課題/領域番号 |
23591590
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
吉兼 由佳子 福岡大学, 医学部, 講師 (00449927)
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研究分担者 |
橋本 淳一 福岡大学, 医学部, 助教 (90580291)
古賀 允久 福岡大学, 薬学部, 助教 (60570801)
長 環 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (90131870)
吉村 耕一 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00322248)
吉田 恭子 (今中 恭子) 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00242967)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
Iモデルマウス確立(至適カンジダ抽出液量の決定)【方法】カンジダ抽出液を精製:カンジダ・アルビカンス標準株を用いてアルカリ抽出液を作成し、マウス6匹ずつにカンジダ抽出液2mg, 4mg, 10mg, 20mg のマウス腹腔内5日間連続投与を1週目と5週目に2クール行ない、2クール開始4週目に犠牲死させ肉眼的組織的観察を行った。【結果】カンジダ抽出液投与量2mg群では3例で大動脈病変が、2例で冠動脈病変が見られた。4mg群では4例で大動脈病変が見られ、冠動脈病変は見られなかった。組織的には外膜の著明な細胞浸潤と弾性板の破壊、及びTNCの発現が主な所見であった。10mg群、20mg群では投与開始翌日に全マウスが死亡したため、解析は行っていない。以上の結果より以降の実験においてカンジダ抽出液投与量は4mgで行うものとした。II 瘤肉眼的解析の確立、血清TNC測定 【方法】7匹ずつ3群にカンジダ抽出液4mgのマウス腹腔内5日間連続投与を1週目と5週目に2クール行い、4,8,12週目に犠牲死させ採血し心臓/大動脈を広範囲に摘出した。(1)血清TNC測定 (2)冠動脈肉眼的観察(墨汁-ゼラチン法)(3)大動脈肉眼的観察 (4)組織的観察 【結果】(1)血清TNC測定4週目474.1、8週目363.5、12週目167 (2)冠動脈肉眼的観察;12週目に1/7匹で瘤形成あり。内腔の拡大はなし。(3)大動脈肉眼的観察;4週目;4/7匹で瘤形成あり、8週目;4/7匹で瘤形成あり、12週目;6/7匹で瘤形成あり。(4)組織的観察;4週目;外膜肥厚性炎症細胞浸潤、弾性板の直線化と断裂、新生内膜少し形成、全層及び外膜にTNC発現、8週目;全層肥厚性炎症細胞浸潤、弾性板ほとんどなし、全層にTNC発現、12週目;全層肥厚性炎症細胞浸潤、弾性板なし、新生内膜でほぼ腔内閉塞、TNCは新生内膜のみに発現
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回作成した血管炎モデルマウスにおいて主に大動脈に瘤所見を認め、冠動脈瘤は12週目に1匹のみであった。いずれも肉眼的には瘤であったが、実際に内腔の拡大はなく、外膜が著明に細胞浸潤し肥厚していた。今回のモデルマウスでは主に大動脈の外膜肥厚性炎症細胞浸潤であり、川崎病患児で見られる内腔が拡大する冠動脈瘤の所見とは異なるものであったが、血管炎モデルとしては十分であった。モデル作成後12週目になると組織は全て膠原繊維に置き換わっていた。テネイシンCは主に4週目、8週目で発現しており、12週目にはほぼ消失していた。これは血管炎発生後の組織修復過程における一過性の発現として矛盾しない結果であった。また血清テネイシンCも4週目をピークとし徐々に低下しており、組織所見と一致した血管炎組織修復過程を表すバイオマーカーとして有用であると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
JNK阻害薬を用いて瘤予防を見る;1ヶ月目投与群とプラセボ群10匹ずつ、3ヶ月目投与群とプラセボ群10匹ずつを用いる。モデルマウス作成1クール開始前日、2クール開始前日にJNK阻害薬を後頭部皮下に埋める。1ヶ月目と3ヶ月目に投与群とプラセボ群10匹ずつ解剖。心臓から第1分枝を含む全大動脈、腸骨動脈まで摘出する。墨汁ゼラチン法は3ヶ月目のみ行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金;本年度繰越金728円が発生した理由として消耗品購入金額が見積もりよりも安価で購入できたことによる。この繰越金は次年度の消耗品購入に当てる。次年度研究費の使用計画;上記実験で用いるJNK阻害薬の費用として120万円を要する。他資金と合わせて購入可能である。
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