研究課題/領域番号 |
23591591
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
太田 和秀 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20283129)
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研究分担者 |
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | ネフローゼ症候群 |
研究概要 |
小児期ネフローゼ症候群患者における再発頻度やステロイド反応性を病初期から予測できる因子に関して検討することを目的とし、T細胞抗原受容体(TCR)構造の多様性について解析した。対象は、金沢医療センター、金沢大附属病院および関連病院に通院する特発性ネフローゼ症候群患者で、各患者の(1)初発時、(2)再発時、(3)ステロイド剤内服にて寛解時、(4)ステロイド剤フリーとなった寛解時、(5)ステロイド剤抵抗性の場合はステロイド内服中の非寛解時、といった各時期において以下のような方法で解析を行った。方法(1)TCR Vβ領域のレパートワ解析 方法(2)TCRの各Vβ領域に対応するCRDR3領域のスペクトラタイピング(波形解析)。 本年度で新たに解析できた症例数は10例あまりだが、それ以前に解析した結果と併せて以下のような結果が得られた。(1)頻回再発型やステロイド依存例では、TCR構造の多様性が失われていた。(2)TCR構造の多様性の消失は、CD4よりCD8にて顕著であった。(3)客観的指標には、CDR3領域の波形解析の結果をスコア化したCS値を用いるのが良かった。 以上の結果より、ネフローゼ患者のCD8陽性T細胞のCDR3領域の波形解析にてCS値を算出し、それを用いることでネフローゼ証拠群の予後を予測できる可能性が示唆された。これらの結果は、外国雑誌 Cinical Nephrology (Apr;77(4):296-304,2012)に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度で新たに解析できた症例数は10例あまりだが、それ以前に解析した結果と併せて以下のような結果が得られた。(1)頻回再発型やステロイド依存例では、TCR構造の多様性が失われていた。(2)TCR構造の多様性の消失は、CD4よりCD8にて顕著であった。(3)客観的指標には、CDR3領域の波形解析の結果をスコア化したCS値を用いるのが良かった。以上の結果を、外国雑誌 Cinical Nephrology (Apr;77(4):296-304,2012)に投稿し掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を基に、特に有用性があると思われたCD8陽性T細胞のCS値をターゲットとし、新規患者を中心に測定を重ね予測可能ラインを算出する。その、CS値を基に、新規ネフローゼ患者を非頻回再発予想群、頻回再発およびステロイド依存性予想群に分け、そのうえで後者の頻回再発予想群およびステロイド依存性予想群をステロイド剤単独群と免疫抑制剤(シクロスポリンおよびミゾリビン)併用群にわけて前方視的臨床研究を行う。そのためのプロトコールを作製し倫理委員会に提出し許可申請もしてゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)解析に用いる試薬の購入 (2)成果の発表のための学会出張費 (3)プロトコール作成後、研究協力施設への配付資料作製のための印刷代
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