研究課題/領域番号 |
23591591
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
太田 和秀 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, 医師 (20283129)
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研究分担者 |
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
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キーワード | ネフローゼ症候群 / T細胞抗原受容体 |
研究概要 |
小児ネフローゼ症候群における再発頻度やステロイド剤の反応性を病初期から予測できる因子に関して検討することを目的とし、T細胞抗原受容体(TCR)構造の多様性に関して解析してきた。 平成25年度は、前年度同様に、解析方法をCD8陽性T細胞のCDR3領域のスペクトラタイピング解析(波形解析)のみに解析方法を絞ったうえで、対象患者数を増やして検討していった。T細胞抗原受容体(TCR)構造の多様性の解析結果と臨床経過を前方視的に検討できたのは、計16症例であった。今回の解析法における、頻回再発型、ステロイド依存性さらにステロイド抵抗性となる予測精度は、ほぼ当初の成績と同じ結果であった。ただ、難治である事の予測に関する特異性は75-80%であったものの、感度が60%と若干低い事が問題かと思われた。しかし、逆に考えれば、難治が予測される患者の約1/2~2/3を病初期から予測できるわけで、これらの患者さんに対して、病初期から積極的な治療を加えればネフローゼ症候群における予後改善に大きく寄与するものと思われた。 現在、CD8陽性T細胞のCDR3領域のスペクトラタイピング解析(波形解析)から得られた予後の予測結果を基に、予後不良と予測される患者さんに対して、病初期から積極的に免疫抑制剤を使用する(ただし、保険適応内)新たなプロトコールを作製中である。プロトコール作製にあたって、院内の治験管理委員会の方々にも相談し作製しているが、倫理上の問題など解決すべき事項が多くプロトコール作製に時間がかかっているのが現状である。平成26年度中には完成させ新たなプロトコールにて臨床試験を発足させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネフローゼ症候群の予後予測因子の確立に関する基礎実験は、ほぼ順調に進行していった。既に、論文化し、更に論文内容を更に確証すべき追試験もほぼ終了した。ところが、そのデーターを元に開始する予定であった臨床試験のプロトコール作製がなかなか順調に進んでいないのが現状である。やはり、被験者であるネフローゼ症候群の患者さんを十分に説得できる内容のプロトコールに作り上げる難しさを実感しながら、当院の治験管理センターの指導を仰ぎながら作製に奮闘中である。
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今後の研究の推進方策 |
実験的なものは、ほぼ終了している。今後は、CD8陽性T細胞のCDR3領域のスペクトラタイピング解析(波形解析)の結果から「多様性が失われている」つまり予後不良と判断された患者のみを対象に、病初期から(1)普通にステロイドのみで、(2)免疫抑制剤のミゾリビンを使用、(3)免疫抑制剤のシクロスポリンを使用、の3群に分けて初期治療を行い予後を変えることが出来るかどうか検討する臨床試験プロトコール作製に全力を注ぐ予定である。また、基礎実験で得られた結果は、今後も各種学会などで随時報告して良く予定出る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた国際学会での発表の一つが、都合により参加できなくなり、その分の旅費が残りました。 平成26年度の旅費もしくは人件費に充当する予定です。
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