研究課題/領域番号 |
23591593
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邉 達也 東北大学, 大学病院, 助教 (70400380)
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研究分担者 |
松田 直 東北大学, 大学病院, 准教授 (50361100)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス / 新生児慢性肺疾患 / 胎児肺発育 / 鉄 |
研究概要 |
本研究の目的は、新生児慢性肺疾患のリスク因子である「びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス」が胎児肺の成長発達に与える影響を解明することである。本研究期間以前に妊娠期間22.5日のWKAH/Hkm妊娠ラットに対し、妊娠21.0日に羊水腔内にデキストラン鉄を注入することにより、妊娠22.0日のラット胎盤胎児面に「びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス」を誘導し、胎児肺の発育が遅れることを示してきた。平成23年度の研究目的は胎児期の肺発育の遅れが出生後も継続することを示すことにある。 一つ目として新生仔ラット実験にあたり、妊娠ラットを手術した後の自然分娩について予備実験を行った。その結果ストレスによる新生仔の食殺が続いたため、同様な実験系の報告を参考にして、ラットをWKAH/HkmからSDに変更した。妊娠21.0日のSDラット羊水腔にデキストラン鉄ないし生理食塩水を注入後自然分娩させた。生後14日ないし60日まで飼育したのちラット肺を摘出した。現在モルフォメトリー解析の準備中である。 二つ目として「びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス」ラットから出生した新生仔のサイトカインを調べるために、新生仔ラットからの採血法の検討を行った。いくつかの採血法の中でおよそ5g程度の新生仔ラットからもっとも採血できたのは断頭法であり、全血でおよそ150μLの採血が可能であることが判明した。サイトカイン濃度の計測については現在検討中である。 三つ目として前述した、「びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス」ラットモデルならびに胎児肺発育の停滞について、第16回オーストラリア/ニュージーランド周産期学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠期間に開腹術を行い、自然分娩後新生仔ラットを育てるモデルを作成するにあたり、ストレスによる母ラットの新生仔食殺が問題となった。そこで、WKAH/Hkmラットから同様な実験系で用いられているSDラットに種を変更し、実験系を再構築したので進行が遅れたものと考えられた。また出生体重5g程度の新生仔ラットからの採血量が微量であることが判明し、研究計画の再検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間に予定されている研究を行う。 第一に平成23年度実施した研究の続きとして、妊娠21日に羊水腔内にテキストラン鉄ないし生理食塩水を投与した母ラットから出生したラット肺のモルフォメトリー解析を実施する。 次いで出生前ステロイド投与が上記肺発達に与える影響について研究を行う。母獣へのステロイド投与量やタイミングについては臨床現場での使用法に合わせて何通りか実施し、解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
妊娠ラット購入費、病理標本作成、モルフォメトリー解析のため経費、研究打ち合わせのための旅費、成果発表のための経費など。
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