研究課題/領域番号 |
23591593
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邉 達也 東北大学, 大学病院, 助教 (70400380)
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研究分担者 |
松田 直 東北大学, 大学病院, 准教授 (50361100)
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キーワード | びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス / 新生児慢性肺疾患 / 胎児肺発育 / 鉄 |
研究概要 |
本研究の目的は、新生児慢性肺疾患のリスク因子である「びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス(以下DCH)」が、胎仔肺ならびに新生仔肺の成長発達に与える影響を解明することである。われわれはDCHを生じる病態で、胎児肺を損傷ないし成長障害を起こしている物質として、赤血球中の鉄に注目した。そこで以前、妊娠期間22.5日のWKAH/Hkm妊娠ラットに対して、妊娠20日に胎仔期羊水腔内に鉄を注入し、注入後24時間で胎盤胎仔面,卵膜にヘモジデリン色素の沈着が観察された(DCHモデルラット)。この結果に基づいて、平成23-25年度にDCHモデルラットを用いて、新生仔ラットの肺の成長とサイトカイン、肺動脈中膜について研究を進める予定を立てた。 WKAH/H㎞胎仔ラット肺損傷のメカニズムについて、胎仔肺組織での好中球の浸潤を主とした急性炎症像か貪食細胞の増加と仮説を立てたが、ヘマトキシリンエオジン染色ではいずれも観察されなかった。そこで、妊娠21日のWKAH/Hkmラット胎仔羊水腔内に鉄を注入し、12時間後に胎仔肺を摘出する追加実験を行った。モルフォメトリー解析では、鉄投与により肺胞表面積が小さく、肺胞数が少なく、肺胞半径が大きいlarger and fewer alveoliを呈したが、ヘマトキシリンエオジン染色では好中球や貪食細胞はほとんど観察されなかった。そこで、胎仔肺組織の追加染色を実施し現在解析準備中である。 平成23-24年度の新生仔ラットの予備実験の結果により、WKAH/H㎞ラットからSDラットに変更する必要があることが判明した。本年度は、妊娠20日のSDラット胎仔羊水腔内に鉄を注入し、出生した生後10、61日の新生仔ラット肺を摘出した。現在モルフォメトリー解析準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成23-24年度の研究の遅れに加え、羊水腔内鉄投与を行った胎仔WHAK/Hkmラット肺組織において、好中球や貪食細胞がほとんど観察されなかったため、新生仔ラットサイトカイン解析を中止し、胎仔肺の追加染色を行った。これにより研究計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度からの継続で、WKAH/Hkmラット胎仔肺の病理組織学的検討を継続する。また、新生仔SDラット肺のモルフォメトリー解析を実施し、胎仔期の肺組織変化が新生仔期にも継続するのか、それとも成長により追いつくことができるのか検討する。さらにこれらの結果に基づいて新生仔SDラット肺の病理学的検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、羊水腔内鉄投与後WKAH/Hkmラット胎仔肺組織の組織学的検討を行った結果、炎症細胞浸潤がほとんど見られなかったため、計画を変更し追加染色を行った。また、羊水腔内鉄投与後SDラット新生仔肺モルフォメトリー解析の対象を変更した。以上2つの理由により次年度使用額が生じた。 このため、胎仔肺損傷のメカニズムの再検討および羊水腔内鉄投与後SDラット新生仔肺モルフォメトリー解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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