研究課題/領域番号 |
23591594
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40343206)
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研究分担者 |
奥村 彰久 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60303624)
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30435862)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胎児発育不全 / 成長ホルモン / 中枢神経障害 |
研究概要 |
【目的】Small-for-gestational age(SGA)児の中枢神経障害については、その予防法・治療法が確立されていない。本研究においてはSGA児におけるに対する成長ホルモン(GH)療法が発達過程の中枢神経系に及ぼす影響を検討し、重症SGA児が抱える成長障害と発達障害の双方を回避できる治療方法を確立する基礎的データを提供することを目的とする。【方法】本年度は、SGAモデルラットの作成および基礎的データの取得を計画した。具体的には、SGAモデルラットは母獣に合成トロンボキサンA2を持続投与する方法にて作成をし、SGAラットの脳重量、肝重量、蛋白定量(脳、肝)、核酸定量(脳、肝)について検討を行った。併せて、神経学的予後として、SGA群と対照群についての生後早期の基本的な運動機能および神経反射、若齢期の基本的行動様式および活動量の評価をおこなった。【結果】脳重量はSGAラットで有意に軽かった。その傾向は特に小脳で顕著であり対照群に比べて30%の減少であった。肝重量に関しても23%の減少をみとめた。蛋白定量および核酸定量では、肝臓においてはSGAラットで蛋白量、核酸量ともに減少をしていた。脳においては蛋白量は減少していたが、核酸はSGAラットで増加傾向にあった。立ち直り反射および傾斜板試験にてSGA投与群において有意に得点が低かった。若齢期における行動実験では、SGA投与群で回転棒試験の成績が有意に劣っていた。また、シャトルアボイダンスにてもSGA投与群において有意に回避率が低かった。【考察および結論】合成トロンボキサンA2にて作成したSGAラットの基礎的データを検討し、神経学的予後不良を示すことができたので、来年度以降はGH投与をおこなった群における行動評価をおこない、併せて中枢神経における組織学的・分子生物学的変化の検討を予定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トロンボキサンA2投与による実験動物の系が不安定であり、基礎データを取るために時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
1)組織学的検討として、Luxol-fast blue染色、proteolipid protein抗体、myeline basic protein抗体を用いた免疫組織化学検査にて脳の髄鞘化の程度を評価する。胎児期あるいは出生直後に5-bromo-2-deoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与し、神経細胞遊走を評価する。神経新生:海馬歯状回顆粒細胞下層、脳室下帯の神経新生を評価する。血管新生:免疫組織学的に血管新生を評価する。2)分子生物学的検討として、脳組織における神経栄養因子(BDNF, NT3, neurotropins, nerve growth factor等)の発現について評価する。3)神経学的予後の検討として、SGAラットにオープンフィールドテスト、回転踏み車テスト、高架式十字迷路テスト、受動回避テスト、立ち直り反射テストなどの行動実験で詳細な発達予後の評価をおこなう。4)GH療法の安全性の検討と用量用法の決定として、高用量群(2.5μg/kg/日)、低用量群(1.0μg/kg/日)で検討をおこない、GH、IGF-I、IGFBP、血糖値、ヘモグロビンA1c、甲状腺機能などを検査して安全性を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24度の研究費の使用計画は下記である。1)モデル動物に関する費用として、SD系ラット(150千円)、ラット飼育料(100千円)2)試薬等に関する費用として、合成成長ホルモン(100千円)、中枢神経免疫組織検討に使用する抗体等(200千円)3)旅費に関する費用として、国内学会学会出張(100千円)、打合せ会(50千円)4)その他の費用として、研究補助員への謝金(250千円)文献複写など(50千円)
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