研究課題/領域番号 |
23591599
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60142379)
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キーワード | トロンボモジュリン / 脳保護作用 / 臓器保護作用 |
研究概要 |
抗DIC治療薬のトロンボモジュリン製剤による新生児仮死児への脳保護作用を見出した。同治療は、従来の脳低温療法のみでは十分な脳保護作用は得られず、新生児仮死児に合併したDICに同薬剤を使用したことで、抗DIC作用に加え、脳画像による脳保護作用を明らかにしたもので、さらに過去の脳低温療法を行った児との間でmatched-controlを行うことでも同薬剤の有効性をさらに明らかにできた(現在論文化を行っている)。同作用は、抗トロンビン作用に起因するものか、同薬剤分子に存在する抗炎症作用かは確認できていない。その後、さらに中枢神経系以外にも有効性があるのか検証するために、極低出生体重児の4例の外科的治療を必要とした腸管壊死を含めた疾患での臓器保護作用についても検証し、その有効性が得られる可能性を明らかにした。 脳虚血低酸素負荷ラットモデルは、初年度から昨年度にかけて、妊娠ラットから出生後に総頸動脈を結紮し、低酸素負荷を行った仔ラットを3回作成し、虚血障害を免疫染色で観察したが、再現性に乏しく(1回目の3/8のみ)が、トロンボモジュリン製剤の有効性を検証するには、より再現性の得られるモデルを作成するために、さらに現在、内径動脈での結紮モデルを作成している。妊娠ラットからは一回の妊娠で5~10匹の仔ラットの出産しか得られないことから、その有効性には、少なくとも80%~100%のラットモデルが必要である。すでにトロンボモジュリン製剤の入手は出来ているが、モデルラット作成が完成すれば検証可能な状況にある。また、トロンボモジュリンの臓器保護は中枢神経系のみならず、低酸素仔ラットの消化器系での臓器保護効果についても検証を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低酸素性虚血幼弱ラットモデル作成で、3回のモデルラットを作成したが、3/8匹で、皮質壊死とTUNNEL陽性所見が得られた。しかし、再現性がよくないことから、ラット総頸動脈結紮から、内頚動脈結紮に変更し、現在実験を行っている。低酸素条件もさらに負荷することで達成できると考えている。トロンボモジュリンの臓器保護作用についてはさらにmatiched-controlledでの臨床比較や追加症例、新生児腸管障害例での使用から、その有効性が期待できると判断している。実験モデルでの達成度は不十分であり、改善を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.低酸素虚血性幼弱ラットの確実な実験モデルを作成する。成熟ラットでの低酸素虚血性ラットモデルでの方法は確立しているが、出生後早期の幼弱ラットでのモデルでは、新たな負荷条件が必要であることから現在、以下の条件で実験を行っている。なお、生後間もないモデル幼弱ラットを飼育条件は、すでに問題なく確立している。現在進行中のラットモデルは、右頸動脈結紮+低酸素4.5時間、右内頚動脈結紮+低酸素4.5時間、右内頚動脈内に糸を挿入し中大脳動脈(MCA)の血流遮断+低酸素1.5時間、左右頸動脈結紮+低酸素4.5時間負荷モデルである。上記での結果が得られ次第、再現実験と薬物実験を行う予定でいる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に遂行に 1.低酸素虚血性幼弱ラット費用 2.経静脈的、経腹腔内投与での脳保護作用のほか、ストレス評価も含める。 3.虚血低酸素負荷後の投与量、投与時期の決定に伴う実験回数の増加に伴う費用 4.作用メカニズムを明らかにするための免疫組織学検査費用を予定している。
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