研究課題
まず我が国におけるNICUのプロバイオティクス使用の現状について把握するために、既に行っている一次アンケートをもとに二次アンケート調査を施行した。その結果を受け、浸透圧を上昇させず菌数の減少を抑えられる投与法として、1包あたりのB.breveを最低8mlの蒸留水に溶解して投与する方法が最も安全で効果的であることが確認され、この投与方法にて検討を行うことになった。次に出生直後および離乳期の仔ラットを対象に、プロバイオティクスを投与した群とそうでない群の腸管粘膜における免疫関連分子の発現を比較検討した。仔ラットにB.breveを投与したところBifidobacteriumの割合が増加した一方、Bacteroidesの割合の減少を認めた。炎症性シグナル分子の発現については、新生児期の仔ラットにB.breveを投与した際、glutathione peroxidase 2などの炎症関連分子の発現の抑制を確認し、その抗炎症効果が示唆された。さらに、リンパ濾胞の増殖因子であるCXCL13などの発現亢進および組織におけるIgA産生の亢進を認め、免疫寛容の誘導により適した環境が誘導されていることが示唆された。近年、腸内細菌叢の変化によって、消化管免疫応答に違いが生じ、新生児や乳幼児における感染症の発症やアレルギー疾患の罹患率に差が認められるとの報告が成されている。そこでB.breveを生後早期から投与した低出生体重児のNICU退院後の腸内細菌叢を調べたところ、投与菌であるB.breveが多量に糞便から検出された。既にB.breveの投与を行っていない状態で糞便中から検出されたことより、生後早期のB.breve投与が腸内細菌叢として定着したことが証明された。今後これらの児がどのような感染・免疫応答を示すかについて検討していくことで、プロバイオティクスの有用性を検討することは興味深いと思われた。
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