研究課題/領域番号 |
23591607
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小竹 武 近畿大学, 薬学部, 教授 (40450887)
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キーワード | 胎児不整脈 / 抗不整脈薬 / 薬物血中濃度 / 経胎盤的胎児治療 |
研究概要 |
過去2年間で研究協力者の所属変更や重篤な有害事象の発生など倫理委員会へ諮る必要事項が多く、研究の進捗状況は遅れていた。平成25年度は研究開始から3年目に至り、症例収集がある程度順調に進み、14例が集積されてた。母体のジゴキシン血中濃度は、血清クレアチニンからの腎機能と母体のジゴキシンクリアランスの解析シュミレーションの検討を実施している。投与量は初回導入プロトコールよりも血中濃度による調整によって、若干減量されることが通常であり、0.75mg/dayから0.25mg/dayの投与量まで投与量の範囲が広く認められたが、通常の患者よりはクリアランスは高い結果となると思われる。 ソタロール投与は7症例集積され、母体血および臍帯血のソタロール血中濃度を測定し、胎児移行率を検討した。蛍光検出器によるHPLC法測定で、LC/MS/MSよりも感度は劣るが、治療域濃度と思われる範囲においては十分に検出可能であった。平均母体ソタロール血中濃度 538±422 ng/mL,平均臍帯血ソタロール血中濃度 322±270 ng/mL,平均ソタロール血中濃度移行率 0.61±0.35 %であり、投与量の高低に一致して母体ソタロール血中濃度の高低も得られていたが、心電図のQT、HRとの相関および生化学検査値との相関は認められていなかった。 当初の研究計画における症例収集予定数よりは少なく、さらに症例の集積が必要である。胎児不整脈における抗不整脈薬の血中濃度の解析指標として医療薬学系学会へ発信することを模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年間に倫理委員会へ諮る必要がある事項の発生からと研究対象者が14例であり当初の予定より少ないが、疾患の特殊性から集積状況は想定内である。
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今後の研究の推進方策 |
ジゴキシンおよびソタロールに関して、集積された限られた症例数であるが、解析検討している。対象数が少ないことによる解析結果が不十分なことが予測され、さらに該当する研究対象者のエントリーが実施されるように各研究医療施設へのさらなる周知によって、薬物血中濃度測定から薬物血中濃度の指標から薬力学的、薬物動態学的評価分析を実施するためのデータ収集に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度、平成24年度の倫理委員会へ諮る事項による遅延と平成25年度においても当初の計画から遅延しており、集積数が少ないことから、支出が少なくなっている。 平成25年度より変更した研究計画が研究統括事務局である国立循環器研究センターの倫理委員会承認後、研究計画の周知あるいは薬物血中濃度測定データ収集によってある程度進捗が順調になりつつあり、平成26年度にはさらに対象者のエントリーにより、薬物血中濃度測定の順調な検体処理あるいは血中濃度解析による一定の成果を学会へ報告することにより、平成26年度研究費については年度内での執行を予定している。
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