研究実績の概要 |
高度医療として認められた胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的胎児治療の臨床試験に沿って、経胎盤的投与における抗不整脈薬の胎児頻脈性不整脈における母体の薬物血中濃度の指標から薬力学的、薬物動態学的評価を集積された登録症例32例において解析を実施した。頻脈性不整脈は上室性頻拍short VA type11例、long VA type3例および心房粗動18例であった。ジゴキシンによる胎児治療導入後、速やかに胎児心拍数低下を認めている症例(上室性頻拍short VA type30%、心房細動56%)と頻脈改善反応が認められない症例は第2,3選択薬のソタロールあるいはフレカイニドの使用へ移行した。ジゴキシンによる頻脈改善反応の有無の2群におけるジゴキシントラフ血中濃度に有意差は認められなかった(P=0.84)。F=0.7としてPEDA-VBで解析したジゴキシンパラメータは解析可能症例26例において、解析時投与量0.52±0.23 mg/day、解析時トラフ血中濃度1.39±0.55 ng/mL、半減期37.4±8.9 hr、クリアランス0.166±0.037 L/kg/hrであり、トラフ値との有意な相関は、投与量(p<0.001)と血清クレアチニン(p=0.058)であった。ソタロールは投与量(p=0.043)のみ有意な相関が認められた。臍帯血と分娩時母体血中濃度から推定胎児移行率はジゴキシン73.1±27.5%、ソタロール74.0±31.2%であった。最終目標として適応拡大および禁忌取り扱いの見直しを学会から申請する予定であり、最終研究計画年次は超えるが、高度医療申請時における50症例を集積して、その解析データをもとに最終的に有効性・安全性評価を実施する。
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