研究課題/領域番号 |
23591609
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
柳原 格 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (60314415)
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研究分担者 |
中平 久美子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (20581317)
西海 史子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (60599596)
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キーワード | 早産 / ウレアプラズマ / 病原因子 / 粘膜ワクチン |
研究概要 |
WHOの統計では、早産率は世界全体で上昇しており年間1500万人が37週未満で出生している。早産児は呼吸器障害、神経障害などの合併症を伴うことがあるが、その原因の約半数に細菌感染や、病理的な絨毛膜羊膜炎(CAM)が認められる。我が国の流早産胎盤の42%からマイコプラズマ科ウレアプラズマ属細菌を分離したが、ウレアプラズマは多くの健常女性生殖器内から分離されること、明らかな病原因子が知られていなかったこと、菌の直径がおよそ100nmとウイルス大であり一般細菌検査で同定が難しいことなどから、早産起因微生物であるのか否かという議論が長らくあった。本プロジェクトでは、ウレアプラズマの外膜リポ蛋白MBA由来合成リポペプチドUPM-1がToll-like receptor2を介して免疫反応を惹起することを見出した。また、UPM-1は妊娠マウスに流早産を引き起こし、ヒトと同様に胎盤に好中球の遊走を引き起こすことも明らかになった。これらによって、ウレアプラズマの流早産病原因子としてMBAを同定した。他の病原因子を探索するため、日本人由来のウレアプラズマSV3F4株の全ゲノム配列決定を行った。その結果この株のゲノムは727,289塩基対の一つの環状DNAで構成され、予想される遺伝子数は571であった。また、この株にはおよそ18 kbの新規挿入配列が存在したが、その機能については不明である。ワクチン開発については、レコンビナントMBAをアジュバンドと共にマウスに経鼻投与した結果、腟内IgAの上昇が確認され、粘膜免疫ワクチンの基盤技術が構築できた。
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