研究課題/領域番号 |
23591610
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
金子 高英 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20333718)
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研究分担者 |
中野 創 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90281922)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ポリオーマウイルス / メルケル細胞癌 / 皮膚悪性腫瘍 |
研究概要 |
2008 年、皮膚科領域の癌であるメルケル細胞癌から今までに報告のない新しいウイルスが発見されメルケル細胞ポリオーマーウイルス(MCV)と名付けられた。以後、有棘細胞癌や基底細胞癌などの悪性腫瘍に限らず、その他の良性の腫瘍にも組織からのPCR にてMCV の塩基配列が見つかり、特に免疫不全状態の患者に見られる皮膚腫瘍にMCV が強く関連することが報告されてきた。現在、本当にメルケル細胞癌以外の腫瘍でMCV は病因となっているのか?と議論を呼んでいる。そこで本研究目的は、MCV がメルケル細胞癌以外の皮膚悪性腫瘍、他良性腫瘍などの原因となることを証明することにある。そのためにMCV の存在と病変誘導活性の2点を明らかにする。1) MCV の存在:蛋白質の検出感度の高いイムノPCR を用いてMCV の発現蛋白を検出する。さらに組織レベルでin situ イムノPCR を実現し、腫瘍組織のMCV蛋白の存在を証明する。2)病変誘導活性:MCV のLarge T 抗原の発現ベクターを構築、人の表皮細胞や線維芽細胞に導入し細胞が不死化できるか、また現在培養ができず、起源が不明な基底細胞癌、脂漏性角化症などの腫瘍細胞にベクターを導入し、培養細胞の株化を確立する。本年度は、実験への検体作成、つまり弘前大学皮膚科学教室で切除された皮膚悪性腫瘍、良性腫瘍組織、凍結サンプル、固定組織を収集した。収集した各種の標本は凍結においてはフェノール法を用いて、固定標本はDNAアイソレーターPSラピット試液を用いて、パラフィン切片はTakara DEXPATを用いてDNAを抽出した。これらDNAのMCVのKarge T抗原遺伝子を増幅し、Tet-onプロモーターを有するベクターに組み込み、そのベクターを培養表皮細胞、線維芽細胞に導入し、遺伝子、タンパクレベルでのLarge T抗原の発現を確認した、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は上述したように、、MCV がメルケル細胞癌以外の皮膚悪性腫瘍、他良性腫瘍などの原因となることを証明するために、1) MCV の存在:蛋白質の検出感度の高いイムノPCR を用いてMCV の発現蛋白を検出する。さらに組織レベルでin situ イムノPCR を実現し、腫瘍組織のMCV蛋白の存在を証明する。2)病変誘導活性:MCV のLarge T 抗原の発現ベクターを構築、人の表皮細胞や線維芽細胞に導入し細胞が不死化できるか、また現在培養ができず、起源が不明な基底細胞癌、脂漏性角化症などの腫瘍細胞にベクターを導入し、培養細胞の株化を確立する。本年度は、実験への検体作成、つまり弘前大学皮膚科学教室で切除された皮膚悪性腫瘍、良性腫瘍組織、凍結サンプル、固定組織を収集した。収集した各種の標本は凍結においてはフェノール法を用いて、固定標本はDNAアイソレーターPSラピット試液を用いて、パラフィン切片はTakara DEXPATを用いてDNAを抽出した。これらDNAのMCVのKarge T抗原遺伝子を増幅し、Tet-onプロモーターを有するベクターに組み込み、そのベクターを培養表皮細胞、線維芽細胞に導入し、遺伝子、タンパクレベルでのLarge T抗原の発現を確認した、である。ここまでは本年度の計画予定に沿っており比較的順調であったが、本来予定していたイムノPCRの条件設定、とくに最適な抗体、DNAの至適濃度の決定に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
まず現在、若干難航しているイムノPCRの至適条件の決定を最優先的に実験を進める。その後、24年度の予定実験として計画している1)in situイムノPCRの条件設定、2)実際にイムノPCRの施行、3)in-situイムノPCR実験4)発現ベクターの導入を引き続き鋭意進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の実験器具、キット、試薬、酵素などに使用する。1)イムノPCRで用いる抗体、RAMP法に用いる各試薬、3)MCVのLarge T抗原の発現を詳細に検討するためのPCR,ウエスタンブロット、蛍光抗体法で用いる各試薬、器具など。他に、情報収集のための旅費、実験助手の謝金にあてる。
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