研究課題/領域番号 |
23591611
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
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研究分担者 |
澤村 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196334)
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キーワード | RIG-I / メラノーマ |
研究概要 |
1.合成核酸による培養細胞のRIG-I、STING、IFN-βの発現誘導 : 正常ヒト表皮細胞、正常ヒト線維芽細胞、ヒトメラノーマ細胞、ヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562細胞をそれぞれ最適な培地を用い培養し、合成核酸であるpoly-(I:C)、5'-リン酸RNA、DNAを添加しRIG-IおよびSTING発現の経時性および濃度依存性をRT-PCR、Western blot法により確認した。RIG-I、STING発現に伴うIFN-β発現誘導を、RT-PCR、ELISAを用い確認した。 2.合成核酸による培養メラノーマ細胞の増殖に与える影響 : 培養ヒトメラノーマ細胞に合成核酸を添加、増殖能への影響を、細胞増殖測定キット(MTSキット)を用い測定したところ、非刺激群に比べ増殖能低下がみられた。 3.RIG-I、STING強制発現が培養メラノーマ細胞に与える影響 : 培養ヒトメラノーマ細胞のmRNAより、RT-PCRにて完全長RIG-I およびSTINGのcDNAを増幅、回収した。発現ベクターに挿入後、培養ヒトメラノーマ細胞に形質導入しWestern blot法、ELISAにてRIG-I、IFN-β発現を確認。培養ヒトメラノーマ細胞の増殖抑制効果を、細胞増殖測定キットで確認したところ、増殖能低下を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、RIG-I・STING誘導性免疫賦活効果とそれに伴うメラノーマ細胞の増殖抑制作用、NK細胞の活性化の詳細なメカニズムを解明することを目標に行われている。下記に示すような結果が得られ、比較的に当初の計画通り研究は進んでいると思う。 1)合成RNA、DNAによるRIG-I、STING発現の確認 : 申請者は、すでに培養表皮細胞の合成RNAであるpoly-(I:C)、5'-リン酸RNA、合成DNAによるRIG-I、STING発現、RIG-Iのフィードバック効果を確認しているが、さらに皮膚真皮内に存在する線維芽細胞、リンパ球におけるRIG-I・STINGの発現誘導によるIFN-βの産生をRT-PCR、ELISAで確認した。 2)培養メラノーマ細胞の増殖能への影響の評価 : 合成RNA、DNA、IFN-β添加による培養メラノーマ細胞の増殖抑制効果を確認することができた。 3)NK細胞の受容体NKG2Dに対するリガンド発現の確認 : NK細胞が非自己と判断し攻撃を加える際、NKG2Dリガンドを所有しているかが重要である。ヒト培養メラノーマ細胞がNKG2Dリガンドを発現していることをRT-PCR、ウエスタンブロットで確認した。
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今後の研究の推進方策 |
RIG-I、STING活性化による自然免疫力促進を抗腫瘍効果として臨床応用するために、本研究計画は以下の研究項目を明らかにした。 : 1.表皮細胞、線維芽細胞、メラノーマ細胞における合成核酸刺激によるRIG-I、STING発現誘導、それに伴うI型IFN産生促進を確認した。 : 2.RIG-I、STING、I型IFNによる細胞増殖能への影響を調べ、非刺激群に比べ増殖能低下を確認した。 今後はさらに自然免疫力促進を抗腫瘍効果として臨床応用するために、以下の研究項目を予定している。 : 3.NK細胞受容体NKG2Dに対応するリガンドがメラノーマ細胞で発現しているか、更にその発現量がRIG-I、STING、I型IFNにより増強するかを解析する。 :4.RIG-I、STING過剰発現による①I型IFNの直接作用、②I型IFNによって活性化したNK細胞による細胞傷害作用、によりメラノーマを抑制できる条件を見出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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