研究概要 |
メラノーマ細胞をはじめとする癌細胞は、IFN-beta/-gamma (100~1000U/ml)曝露により、STAT1を介して細胞増殖抑制/ アポトーシス誘導作用を有するとされている。しかし我々は、in vitroでIFN-beta/ IFN-gamma/ rR9-GRIM19単独曝露のB16細胞株に対する抗腫瘍効果が低いことを確認した。ところが、IFN-beta/ IFN-gamma とrR9-GRIM19 にて48時間以上共曝露すると、annexin V, caspase 3 陽性となりB16 細胞株の4割以上がアポトーシス/細胞死を来す。また、IFN-beta/ IFN-gamma とrR9-GRIM19 にて48時間以上共曝露すると生存細胞数は1割以下まで減少することを確認した。一方、STAT3の活性化を認めないNIH3T3細胞では、このようなアポトーシス誘導の増強は確認されなかった。以上の結果は、B16癌微小環境においてIFNの曝露に加え、rR9-GRIM19を局注すると強力な抗腫瘍効果を発揮しうることを示唆している。 これまでの結果を踏まえ、B16 腫瘍塊に直接 rR9-GRIM19 とリコンビナントIFN を共接種すると、はたして完全拒絶をきたしうるかを検討することにした。 IFN はrInterferon-beta (1000 U/mouse), rInterferon-gamma (1000 U/ml) を使用した。接種方法は、B16 (2x105/mouse) 皮内移植3日後(黒色結節を形成)より、連日3日間 (day 3, 4, 5) 腫瘍内接種とした。その結果、rIFN-beta, rIFN-gamma、rR9-GRIM19 単独接種群では、in vitroでの効果と同様に僅かな抗腫瘍効果を認めるに過ぎなかったのに対し、rIFN-beta/ rIFN-gamma とrR9-GRIM19 共接種群ではB16腫瘍塊部の潰瘍を伴う完全拒絶を認めた。しかし、IFN-beta + rR9-GRIM19 接種群では完全拒絶が継続されたのに対し、IFN-gamma + rR9-GRIM19 接種群ではday 14 より潰瘍辺縁部からのB16 肉眼的再発(黒色結節)を認める様になった。
|