研究課題/領域番号 |
23591616
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
芦田 敦子 信州大学, 医学部, 助教 (00596786)
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研究分担者 |
後藤 康文 信州大学, 医学部, 非常勤講師 (60467181)
奥山 隆平 信州大学, 医学部, 教授 (80292332)
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キーワード | CTCs / メラノーマ |
研究概要 |
進行期メラノーマでは、治療の選択肢が大変少なかったが、近年に分子標的薬として、変異BRAF阻害剤、KIT阻害剤などが期待されている。メラノーマ患者毎に有効な分子標的薬を選択するためには、遺伝子変異などを効率的に検索する方法の確立が必要である。我々は血液循環腫瘍細胞 (Circulating tumor cells: CTCs)を用いて遺伝子変異を解析するシステムの構築をはかってきた。これまでは患者の末梢血から有核細胞を分離し、そこにHMW-MAA抗体を標識し、マグネットビーズを用いてメラノーマ細胞のみを分離していた。CTCsは病期が進行すれば末梢血に多数出現するため採取しやすいが、病初期の段階はCTCsを分離する効率が大変低いという問題点がある。我々は、さらにメラノーマ細胞の採取効率を上げるため、これまでのHMW-MAA抗体にB7-H3抗体を加えて回収することを計画した。これまでに、メラノーマ細胞株を用いて、HMW-MAA抗体単独・B7-H3抗体単独・両方で回収率比較したところ、両方の抗体を用いた方がCTCsの採取効率がよいことを確認している。まず臨床でのメラノーマの病理組織でB7-H3が高率に発現していることの確認をし、次にCTCs採取効率が一定していないことがあるため、最適な条件を設定する実験を行った。 (1)臨床検体でのB7-H3の発現の検討 メラノーマ臨床検体におけるB7-H3免疫染色の結果は acral 18/20例、non-CSD 19/20例と高率に発現していた。 (2)細胞株でのCTC回収率の比較 メラノーマ細胞株(928Mel 888Mel MMG1)において、HMW-MAA抗体単独群とHMW-MAA抗体にB7-H3抗体を加えた群で回収率比較したところ、888Mel以外の細胞ではB7-H3抗体を加えた群の方がCTCの回収率が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに抗体を追加して回収率が上がったことは確認できたが、ステップの段階で細胞のロスがでてしまうため、十分に回収できないことが原因と考えられた。現段階ではまだ患者の血液から遺伝子変異を解析できるまで測定系が安定していない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スライドグラス、血液量、洗浄方法などさらに検討する予定である。 細胞株でCTCsの分離・採取を安定させてところで、患者の血液からCTCsから分離・採取を行い、病期別、化学療法や手術前後でのCTC量の比較、BRAFやKITの遺伝子変異の解析を行う。 同時に別の超高感度の測定系の開発も検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
<前年度未使用額について> 当初計画時よりも、試薬や備品類を安価で購入できたため、次年度使用額が生じた。 <次年度の研究費使用について> 細胞培養用培地や器具、磁気ビーズ、PCR用試薬やプライマー、シークエンス用試薬や機器の使用料などにあてる予定である。
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