研究課題/領域番号 |
23591619
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高田 実 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤研究員 (20154784)
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研究分担者 |
山崎 修 岡山大学, 大学病院, 講師 (90294462)
大塚 正樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (80452572)
鈴木 規弘 岡山大学, 大学病院, 医員 (10600281)
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キーワード | メラノーマ / 癌幹細胞 / 血液循環癌細胞 |
研究概要 |
今年度の研究では、末梢血を循環するメラノーマ細胞の分離を試みた。 まず予備実験として3種類のメラノーマ細胞株を5mlの末梢血に100個~10万個混合し、HMW-MAA単クローン抗体と免疫磁気ビーズを用いてメラノーマ細胞の回収を試みた。単クローン抗体はピッツバーグ大学のFerrone教授から供与を受けた769.74, VF1-TP41.2, VT80.12の3種類をカクテルとして用いた。その結果、メラノーマ細胞の回収は可能であるものの、多数の白血球の混入があることが明らかとなった。そこで、HMW-MAA単クローン抗体と免疫磁気ビーズで回収した細胞をさらに抗白血球CD45を結合した磁気ビーズカラムに再度通して、混入白血球を除去するステップを追加することにした。これによりメラノーマ細胞の回収率は数%~20%程度まで低下したが、ほぼ白血球の混入の無いメラノーマ細胞の回収が可能であった。次に岡山大学病院で治療中の進行期メラノーマ患者の末梢血からメラノーマ細胞の捕獲を試みた。捕獲率にはばらつきがあり、全くメラノーマ細胞が採れないこともしばしばであったが、採血を繰り返し複数の検体で試みることにより、ほぼ全例からメラノーマ細胞の捕獲が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想に反して、進行期のメラノーマ患者の末梢血5mlからのメラノーマ細胞の捕獲数は数個程度と少なく、全く細胞が捕獲できないこともあった。現状ではさらにメラノーマ幹細胞のマーカーであるABCB5陽性の細胞を分離することは困難であることが予想される。その理由として、1)メラノーマ患者では進行期でも末梢血に漏出するメラノーマ細胞が少ない2)メラノーマ細胞の漏出はあるが、それらの細胞のHMW-MAA抗原の発現が減少している3)現在用いているモノクロナル抗体の力価が低下している、などの理由が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記3)の可能性については3)についてはメラノーマの培養細胞を用いたFACSで検証を予定している。メラノーマ細胞の捕獲率が上がれば、メラノーマ幹細胞のマーカーであるABCB5抗体を用いて末梢血を循環するメラノーマ幹細胞の捕獲を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費は末梢血からのメラノーマ細胞の回収に用いる免疫磁気ビーズ、抗体類、FACSなどの実験に用いる試薬類等の消耗品の購入に充てる。
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