研究概要 |
今年度はメラノーマ患者の血漿に漏出する腫瘍由来のDNA断片(circulating tumor DNA, ctDNA)の癌遺伝子変異の検出を試みた。癌遺伝子変異の検出には特異的1塩基伸長反応と飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)を組み合わせたMassARRAY分析システムと皮膚がん変異解析パネルMelaCartaを用いてメラノーマの癌遺伝子変異スクリーニングを試みた。このシステムはパラフィン包埋組織から抽出した微量のDNAからBRAF, NRAS, KIT, AKT3など20種類の既知のメラノーマの癌遺伝子の72種類の点突然変異を変異アレル比率5%までの高感度で迅速に検出できる。はじめに血漿ctDNAの対照として、腫瘍組織の癌遺伝子変異をMassARRAYシステムMelaCartaを用いて解析した。これまでに8例の解析を行い、BRAF V600E変異を5例に、NRAS Q61R変異, EPHB6 G404S変異をそれぞれ1例に検出した。本システムは効率、感度ともに優れた変異のスクリーニング法であることを確認した。次いで、メラノーマ患者の血漿からQIAmp circulating nucleic acid kitを用いて微量のctDNAを分離抽出した。これまでに9例の血漿ctDNAの抽出を終え、現在、MassARRAY システムによる解析を施行中である。
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