研究課題/領域番号 |
23591621
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松尾 裕彰 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60346385)
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研究分担者 |
三原 祥嗣 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90325168)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小麦アレルゲン / 血中濃度 / グリアジン |
研究概要 |
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)は、小麦を摂取後に運動することによりアナフィラキシーなどの重篤な症状が誘発される疾患である。我々はこれまでの研究で、消化管からのアレルゲンの吸収増加が、WDEIAにおける症状誘発要因の一つであることを明らかにしている。しかしながら、経口摂取した小麦アレルゲンは胃酸による変性や消化酵素による分解を受けることから、ELISAなどの免疫学的手法で検出された血液中のアレルゲンが、マスト細胞や好塩基球を活性化できる生物学的活性を有しているかどうか不明である。本研究では、ラット好塩基球細胞(RBL-2H3)の脱顆粒反応を指標にした血中小麦アレルゲンの生物学的活性定量法の構築し、アレルゲンの体内動態を明らかにする。 今年度は、WDEIAの主要な原因抗原であるω5-グリアジンの血中濃度測定法の確立のために、まず、リコンビナントω5-グリアジンの作製を行った。ω5-グリアジンをpET-21(a)ベクターに組み込み、宿主大腸菌としてRosetta株を使用すると、全長型のω5-グリアジンを発現させることが出来た。しかし、精製途中に分解することが明らかとなった。そこで、pColdIIIベクターと宿主大腸菌JM109株の組み合わせに変更することで効率的に発現させること、および、C8カラムを利用して単一タンパク質として精製することが出来た。また、小麦グリアジンで感作したラット血清とRBL-2H3細胞を用いた生物学的アレルゲン定量法の予備検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度には、全長型組換えω5-グリアジンの作製、および、ω5-グリアジン抗モノクローナル抗体の作製を計画していた。全長型組換えω5-グリアジンの作製実験において、生成段階での分解を回避するためにベクターの変更を行ったが、計画通りに取得することが出来た。しかしながら、抗体作成にまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的の一つである「血中ω5-グリアジンの生物学的活性定量法の構築」を達成するため、当初モノクローナルIgE抗体を利用する予定であった。しかし、モノクローナル抗体の作製は時間が必要と予想されるため、まず、小麦グリアジンでラットを感作した血清用いて、RBL-2H3を抗グリアジンIgE抗体で感作し、グリアジン抗原を負荷することで脱顆粒させ、β-hexosaminidaseを測定する方法の開発を行う。この測定系を用いて血中グリアジンの定量法を確立した後、モノクローナル抗体を利用した測定系へ移行する。 グリアジン測定系の構築と並行して、経口感作アレルギーモデルラットの作製を行う。最終的に、経口感作アレルギーモデルにおける血中のアレルゲン動態を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の経費の主要な用途は消耗品である。実験動物、培地、血清、ELISA キットなどの試薬類、プレート、チップ、チューブなどのプラスチック器具類、ガラス器具類を購入する。
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