本年度は前年度までの結果を踏まえて水疱性類天疱瘡関連疾患である、粘膜類天疱瘡での初期発症機序研究を進めた。まず、粘膜類天疱瘡患者でもBP180の内包化が起こるのか否かについて検討した。具体的には粘膜類天疱瘡患者組織におけるBP180の分布を免疫組織化学的に調べた。結果として、全例ではないが一部の患者では内包化が生じていることを見出した。また前年度と同様のIn vitroのケラチノサイト細胞培養下で、粘膜類天疱瘡患者由来IgGを投与し、Live cell imagingでBP180が内包化するかどうかを検討した。結果として、全ての粘膜類天疱瘡患者由来IgGではないが一部においてやはり内包化することを示した。さらに、この粘膜類天疱瘡患者由来IgGがBP180の内包化を誘導してケラチノサイト細胞ーディッシュ接着そのものを低下させるかどうかについても検討した。結果として、ケラチノサイト細胞ーディッシュ接着の低下を誘導することを示した。以上のことから、これまで全く解明が進んでいなかった粘膜類天疱瘡の発症メカニズムの一端を解明できたと考える。
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