酒さならびにその類縁疾患である口囲皮膚炎、ざ瘡、アトピー性皮膚炎患者を対象に、顔面の額、頬、鼻、眼瞼、鼻唇溝、顎など数カ所で、皮膚バリア機能指標TEWL、皮膚角層水分量指標high frequency conductance、皮表脂質量、皮表pHなど皮膚生理機能指標を測定して検討した。 アトピー性皮膚炎においては、顔面ならびに顔面以外の皮膚においても、症状軽快に伴い、TEWLの低下ならびにhigh frequency conductanceの増加が認められたのに対し、酒さ、口囲皮膚炎、ざ瘡ではその皮疹が認められる顔面の病変部皮膚において、TEWLが高値傾向、症状軽快後にTEWLが低下傾向を示したものの、high frequency conductance、皮表脂質量、皮表pHに関しては、一定の傾向を認めるに至らなかった。 アトピー性皮膚炎では、皮疹部のみならず明らかな皮疹がみられない皮膚においても皮膚バリア機能低下が認められることが知られているが、酒さ、口囲皮膚炎、ざ瘡では、顔面以外の病変がみられらない皮膚では、皮膚バリア機能低下はみられず、本症でのバリア機能低下は、皮膚病変に続発して生じる結果であると推測されている。また、細菌叢は、顔面と顔面以外では異なることが知られているので、酒さ、口囲皮膚炎ならびにざ瘡においては、顔面の病変部、顔面の非病変部、顔面以外の非病変部において、菌叢のプロフィールと皮膚角層バリア機能異常について検討していきたいと考えている。
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