研究課題
制御性B細胞はIL-10産生を介して過剰な免疫反応や炎症を抑制する。昨年度までに、全身性強皮症患者と健常人の末梢血中の制御性B細胞を測定し比較検討し、サイトカイン誘導性線維化モデルマウスを用いてIL-10産生制御性B細胞の役割を解析した。さらに本年度は、制御性B細胞の機能をin vitroで解析した。健常人24人、全身性強皮症24人、皮膚筋炎3人、尋常性天疱瘡/落葉状天疱瘡、2名のPBMC中のIL-10産生B細胞の頻度を解析した。結果は、IL-10産生B細胞は健常人で平均11%、強皮症は6%と有意に減少していた。IL-10産生B細胞と同様にCD24hiCD27+B細胞は健常人と比較して、全身性強皮症で有意に減少していた。皮膚硬化の重症度別に解析を行ったところ、軽症型の強皮症の方がより減少している傾向に有った。サイトカイン誘導性線維化モデルマウスにおけるIL-10産生制御性B細胞の機能解析にはCD19欠損マウスを使用した。CD19欠損マウスはIL-10産生制御性B細胞が存在しないため、制御性B細胞の機能解析に有用である。野生型マウスとCD19欠損マウスにサイトカイン誘導性線維化モデルを誘導したところ、両者の間に有意な差は認められなかった。制御性B細胞の機能をin vitroで解析した。制御性B細胞とマクロファージを共培養したところ線維化を促進するIL-6産生がマクロファージで低下していた。以上より、制御性B細胞は重症度とは相関しておらず、サイトカイン誘導性線維化モデルマウスでもその役割が少ないことから、線維化病態促進への関与は少なく、全身性強皮症の発症に深く関与している可能性が示唆された。本研究結果は今後の治療応用に意義あるものである。
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