研究課題
我々は、(PLCe)ノックアウト (KO) マウスを用いて紫外線 (ultraviolet B: UVB) 皮膚発癌を行い、UVB皮膚発癌は、PLCε KOマウスのほうが野生型マウスに比して促進され、その原因の一つとしてPLCε KOマウスの皮膚細胞ではUVBによるアポトーシスが抑制されることが考えられることを想定したが、 UVBによる皮膚発癌は、(1) イニシエーション時のcyclobutane pyrimidine dimmer (CPD) 生成、(2) プロモーション時の炎症反応 (3) IL-10 ・IL-12などの皮膚免疫に影響を与えるサイトカイン発現などによっても影響を受ける。これらの事象がPLCε KOマウスにおける紫外線皮膚発癌亢進の原因となっている可能性を検討したところ、野生型マウス皮膚とPLCε KOマウス皮膚との間ではUVBによるCPD 生成とIL-10 ・IL-12産生能には差がみられなかった。一方、UVBによる皮膚炎症は野生型マウス皮膚に比べPLCε KOマウス皮膚では著明に減弱していた。この結果は、通常炎症反応は発癌にプラスに働くとされている考えと矛盾するが、上記で述べたように、PLCε KOマウスの皮膚細胞ではUVBによるアポトーシスが抑制されるため、遺伝子損傷を受けた細胞が多く生残り、これが発癌亢進に働き、発癌における炎症反応の影響の少なさをカバーし、結果としてPLCε KOマウスでのUVB皮膚発癌につながったと考えた。
2: おおむね順調に進展している
当初の平成23年度における研究目的事項である<紫外線皮膚発癌におけるPLCεの役割の検討>、および、<紫外線による皮膚炎症におけるPLCεの役割の検討>はほ、ともに検討がぼ達成されたため、研究は順調に進展していると考える。
当初の予定通り、平成24年度は<乾癬におけるPLCεの関与の検討>、<紫外線白内障における PLCεの役割解析>、<PLCεの下流シグナルの解明>を目的として研究を行う。
当初の予定通り、消耗品費として750000円、国内旅費として100000円、外国旅費として250000円、謝金等に50000円、その他(研究成果投稿料、実験動物の飼育管理費など)に50000円を使用する予定である。
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European Journal of Dermatology
巻: 22 ページ: 276-277
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